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【書評】三代にわたって受け継がれる想い~『花の鎖』(湊かなえ)

私はいつも生徒に本を紹介する側なのですが、たまに生徒が本を紹介してくれることがあります。この本もそうでした。湊かなえさん『花の鎖』です。

※書評一覧の目次はこちら

1、内容・あらすじ

主人公は3人の女性です。

一人目は梨花。両親を交通事故で亡くし、祖母もガンで入院中。さらに講師として働いていた英会話スクールが破綻し金銭的に困っています。

二人目は美雪。建設会社で働いていましたが、伯父夫婦のすすめで営業職の和弥と結婚します。

三人目は紗月。公民館で水彩画教室の講師をしつつ、和菓子屋でバイトをしています。

この3人の女性の人生が同時並行で語られますが、それぞれに繋がりがあることが徐々にわかってきます。

キーパーソンは、一人目の主人公、梨花の母に毎年花束を贈ってくる「K」という謎の人物。

いったい三人にはどのような繋がりがあるのか──。

2、私の感想

「イヤミス」で知られる湊かなえさんですが、この作品は違います。解説によると、代表作『告白』が黒だとすると、この『花の鎖』は白だということ。

序盤は、梨花の母に花束を贈ってくる「K」という人物はいったい何者なのか、という謎を中心に展開されます。

これがストーリーの主軸なのかな、と読み進めていくと、それだけではないことがわかってきます。

何となく感じていた違和感が「ん?もしかして?」という疑いに変わり、3人の女性がつながっていることがわかり始めてから、俄然面白くなります。3人の名前の意味にも気づきます。

そして読者が全体像を把握した頃に、最終章で全ての謎が明かされます。今まで待たされていただけに爽快感もひとしお。

謎解きミステリーの醍醐味を味わえる作品です。

解説にもあったとおり、二回読むとさらに面白いと思います。

ドラマ化もされているようです。DVDにはならないのかな。

3、こんな人にオススメ

・花が好きな人
何度も花が出てきますし、花屋さんも重要な役割を果たします。

・登山が好きな人
登山も物語中、重要な要素でした。

・謎解きが好きな人
謎解きの見本のような、見事な構成でした。ワクワクします。


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