ショートショート「決められたレールではなく」

カミオは大手建設会社社長の１人息子。 幼い頃から父に帝王学を学び、生まれたときからその将来を約束されていた。 何不自由なく育ったのだが、自我が芽生えるにつれ、自分の将来に疑問を持つようになっていった。果たして、このまま親の言いなりになっていってよいものなんだろうか、と。 そしてついに、カミオは将来のことで親に反発する。 「俺は、もう父さんの言いなりになるのは、いやだ！」 「何を言う！　お前は父さんの跡を継ぎ、この会社の社長になるんだ！」 「イヤだ！　決められたレール

折り紙作品「土偶」

ショートショート「ダイエット婦人」

ダイエットに悩んでいた婦人、思いあまって友人に相談した。 友人は、そんな婦人に、ある医者を紹介した。 「先生、私、痩せられますか？」 「大丈夫です。私の言いつけを完璧に守っていただいたら、１００％痩せられます」 「わかりました！　何をすればいいですか？」 「では婦人、以下の３つを実践してください。1つ、食事は３食摂る事。２つ、炭水化物は摂らない事。３つ、夕方の6時以降は水分以外のものは摂らない事。守れますか？」 「はい！　頑張ります！」 それから数ヶ月、友人は再び

ショートショート「恐るべきダウジング」

超能力者イイヅカは恐るべきダウジングの能力を持つ。 ダウジングとはL 字の針金などを用いて，目的の物を探り当てたり予測する技術である。 水脈・鉱脈の探索や，占いなどに用いられる。 イイヅカは、その能力に長けていた。 徳川埋蔵金から遺棄された遺体の発見や遺跡の発掘まで、およそ地中に埋まっているありとあらゆるものは、２本の針金で見事にその場所を言い当ててしまうのだ。 無論、そんな彼をマスコミがほおっておくはずはない。各テレビ局はこぞってイイヅカの特番を組んだ。そして彼はすべ

「いっそのこと」

妻が血相を変えて帰ってきた。 「聞いてよ！！今、そこの交差点で車に轢かれそうになったわよ！」 と力説する妻。 私は（特に怪我もささそうだし、元気そうじゃんオマエ）と思いつつもとりあえず「どんな車だった？」と、とりあえず無視はしてないよというスタンスで話を聞いた。 妻はさらに続ける。 「こっちの信号が青に変わったから横断歩道を歩きはじめたらさ、交差する道からスポーツカーが走ってきて！私の前で急ブレーキよ！もうちょっとで接触するところだったわよ！それだけでもムカつくのに

ショートショート「人気歌手、復活」

御三家にも数えられるほどのスター歌手、トシキが 脳梗塞を患った。 幸いにして症状はごく軽く、しばらく入院しただけで退院、仕事に復帰するメドもついた。 しかし、ブランクがあっただけに不安は拭い去れない。 果たして自分は、以前と同じように歌えるのか？ トシキは、仕事に復帰するにあたり、医師に相談した。 「先生、私は、歌手として復帰できるでしょうか？」 医師は思った。 （特に歩様に問題もなさそうだな・・・言葉もはっきりしておる） 医師は、トシキにこう尋ねた 「歩いたり