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【ライター志望者へ】困難の中に意外な道あり 最初にハードルを超えるメリット

 noteでは、ライターになるべく、もしくは独り立ちするために奮闘中の記事をよく見かけます。努力や情熱は頭の下がる思いですが、執筆業の端くれで20年以上食べている身としては「大変な道を選ばなくても……」と思うのも確か。夢は大切ですが、普通に生活していける前提があってこそです。

 一言で言えば、心の底からライターになりたいのなら、メディアへの応募をする方が有利です。クラウドソーシングにチャレンジするより生活も安定しますし、得られるノウハウが段違い。「将来はフリーで」と考えても、まずはメディアに所属する方が圧倒的に良いでしょう。

 理由はシンプル。先輩や上司が記事の書き方や取材方法などのノウハウを教えてくれるから。「鬼滅の刃」に例えれば、鱗滝さんに師事して鬼殺隊になるための特訓をしてもらえるのです。おまけに給料も出ます(ここ大事)。そこから先は情熱と力量次第ですが、仕事をやるほどどんどん成長できるでしょう。

 サントリー風に言えば「やってみなはれ」の世界です。新聞社や有力週刊誌を目指すのは大変ですが、今はネットメディアもたくさんありますし、人材募集をしています。書類選考で落ちてもほぼノーリスク。試験や面接を受けても交通費程度で済み、業界の雰囲気も感じられます。他の仕事を続けながら、何度も受け続ける手もあります。今は人材不足の時代で、未経験者でもオッケーというのも珍しくありません。地方出身でも、情熱をアピールするなどやり方次第です。

 クラウドソーシングは、手軽に始められて、実績が作りやすい利点はあります。しかし手軽なのは誰でも同じで、ライバルが多いことを意味し、他のライターとの差別化が難しいわけです。プロのライターになっても、武器がなければ、他に取って代わられる可能性があり、長く生き残るのは大変になるからです。

 採用が難しいと思われる年齢が高めの未経験者とか、多忙で隙間時間を利用するしかない人であれば、クラウドソーシングを活用しての実績作りは一つの手でしょう。しかし、活躍の場が用意されているメディアに潜り込むのが有利というのは変わりません。

 あとは、クラウドソーシングの悩みに挙がる「文字単価」の話もお伝えします。

 かつてメディアに所属してライターに執筆依頼をしていた「発注者」「スカウト」の経験がある立場から言えば、文字単価をアピールする方に依頼したことはありません。報酬は「〇千文字〇万円」と提示。価格交渉はもちろんありますが、文字単価で交渉したことも、逆にされたこともありません。執筆実績、記事の内容を見て判断していました。

 一線で活躍しているフリーライターのプロフィール欄に仕事の依頼は「応相談」などになっているはずです。なぜかといえば、媒体のブランド、仕事の内容、報酬のバランスを考慮して決めるのです。

 よく「仕事の単価を上げる方法」という記事で、ノウハウを有料で紹介していたりします。そうした方法も否定しませんが、そもそもの話をすると、手の内(報酬希望額)を先に見せては、単価アップを望むのは大変でしょう。

 つまりプロフィール欄に「1文字あたり〇円」と書くと、かえって不利に働く可能性があると思うのですね。逆の立場に立って考えると分かりますが、「記事の執筆を〇円で受ける」と言われたら、発注側としては上乗せした価格を出さないですよね? 「1文字あたり〇円」と提示することは、単価のアップはもちろん、媒体からの執筆の依頼を遠ざけている可能性があることも知っておいてほしいと思います。

 そしてネットが社会的インフラになり、メディアの数は増え、人材を募集をしています。一見困難なようにみえて、思わぬところに道はあったりします。もちろん、メディアが「すべて良い」とは言いません。媒体によってレベル差はあり、かつ一緒に仕事をする人にも左右されます。が、それでも選択肢の一つに加える価値はあると思います。

 もちろん、私が言うことがベストとは限りません。それぞれの立場もあるし、性格もあるでしょう。何がベターかは、目指す方向性や年齢によっても変わるはずですから。

 有名な「朝三暮四」と言う言葉があります。結果は同じなのに目先にこだわることを揶揄(やゆ)する故事成語です。「ライターになるんだから何でも一緒」といえばその通りです。ですが、世の中は面白いことに、スタートを少し変えるだけで結果が劇的に変わるケースがあります。最初に楽をすれば後が大変で、最初に苦労すれば後が楽になるのは「朝三暮四」そのものですが……。そうであれば最初に「メディアへ入社」というハードルを超えてしまえば、ライバルをぐっと減らせて生き残りの率がアップするわけです。ライターは、少なからずそういう面があります。

 特に「若さ」はそれだけで武器になります。そして勇気を出して挑戦をする人が増えますように。挑戦しなければ、いつまでも確率はゼロなのですから。

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