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ライターの「文字単価」 執着しすぎると弱点になる話

ライターさんたちの記事を読むと「文字単価」(記事の1文字あたり〇円)に触れることが多いかと思います。以前の記事で「文字単価」を強調すると損することがある……と書いたのですが、何事も執着しすぎると良くないのではないでしょうか。

もちろん文字単価は、1文字〇円という明確なルールがあるわけで、安心感はあります。一方で、その考え方が弱点になることもあります。価格交渉がしづらいのもそうですが、まだ問題があります。文字数を「水増し」したくなることです。

ちなみに新聞や週刊誌の記事は、文字数を削る手法で執筆します。水分を蒸発させてより濃いエキスにするような感じ。新聞記事では、文字をどれか一つ抜くと記事として成り立たないことすらあります。そして紙媒体は、文字に限りがあるからこそ、一文字でも削って無駄を省き、その分情報を詰め込み、テンポを意識し、分かりやすい言葉を選びます。

しかし、ネットの記事は、文字制限もないためか、吟味した感じが薄いのです。SEO対策のため文字数が多くなり、不要なくだりがあったり、その一方で説明が不足することも……。能力のある人が読めば、その差ははっきりします。

そして文字単価が評価対象だと、文字を増やすことに熱心でも、減らしたくない。本来、読者に記事を理解してもらうには、余分な情報を入れないことも大切ですが、それがしづらくなるのです。

そもそも、文字単価を気にするよりも、大切なことがあるはず。執筆時間はもちろん、アイデア出し、調べる時間、取材・裏取りの時間、推敲する時間。すべてコストのはず。もちろん、文字単価は高い方がいいのは、その通りなのですが、ワン・オブ・ゼムの話です。

もちろん「初心者、かけだしライターだから安く受ける。実績を積むことを重視」というのも、一つの手ではあります。そうやって成功した方もいるでしょう。ですが、見方を変えると、それは“ダンピング”の側面があります。「安くてもライターの仕事をやります」という需要があるから、低価格の案件もあるのです。誰も仕事を受けないなら、低価格案件が成り立つ余地はないのですから。本来は最低賃金のような仕組みがあればいいのですが、なかなか難しいところです。

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