キネマの天地 1986年 日本

監督脚本 山田洋次
脚本 井上ひさし 山田太一 朝間義隆

渥美清
中井貴一
有森也実
倍賞千恵子
最初のタイトルバックを見てそこに出る名前、、、

朝間義隆 高羽哲夫 出川三男 山本直純

これらを見ただけで、ああ、これはそういう映画なのだな、と、

最後に監督、脚本 山田洋次 と出る、そういう映画なのだな、と思う訳です。


この映画を見て、最初から最後までずっと目に涙が浮かび続ける訳です。

この映画を見て泣くのは、ある特定の人だけなのです。

出演者の顔ぶれを見ただけで泣けてくる、そういう映画なのです。

古き良き日本映画、それも、松竹の映画の数々、、、、。

小津安二郎から山田洋次までの松竹の映画を愛した人だけが泣けてくる映画なのです。


それにしても渥美清さんという俳優が居て、本当に良かったと思うのです。

娘に演技指導をするカットの演技から本番の映像、映画館での出来事、

全部目に涙が溢れてしまうのです。

本当にズルい映画なのです。

良く知っている人だけが自動的に泣いてしまう映画なのです。


日本人は日本の映画をもっと誇りに思うべきです。

昔の偉い監督さんや役者さんの事を知っておくべきだと思います。

せめて、小津安二郎や黒澤明の映画の何本かは見て知っておくべきだと思います。


知らないというのは実は恐ろしい事です。

良く知っていれば先人たちを尊敬する気持ちになるものです。

だから、知らないというのは本当に恐ろしい。

せめて基本知識として、昔の日本映画の事をいくらかでも勉強したほうが良い。

小津や黒澤がどれだけ世界に影響を与えたのか、何本かの映画だけでも見て知っておくことがとても大事なのだと強く思います。

山田洋次さんは大学を卒業してから松竹に入社し、当時の小津監督の映画を見て、

「なんだよ、あれ」とバカにしていたのだそうです。

それにひきかえ、東宝の黒沢監督は凄いなあ、と憧れていたのだそうです。

けれど、結果的に山田監督は小津監督の後継者の様な作風を確立する事になります。

晩年、山田監督が黒澤明監督の自宅を訪ねた時に、黒澤監督がビデオで小津作品を見ているのを見て、

ああ、監督もこういう映画を撮りたいんだなあと思った、と語っていました。

人生経験を積めば積むほど、若い時にバカにしていたものにたどり着いて行く、というのが人間なのかもしれません。


予告編


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