見出し画像

コミュニティマネジメントにこそHRテックが役に立つ!の話【連載第15回】

みなさんこんにちは。コミュニティ運営をしてきた気づきをまとめていく連載第15回です。

コミュニティ内でイベントがあるとメンバー同士が一気に仲良くなりますよね。共通の経験というのは人と人との距離を近づけるんだな、とじんわりきちゃう僕ですが、プロジェクトメンバーに当日までの進行管理の話を聞くと「結構大変な時期もあったんですよ~~」という声が。見えないところで苦労もあるんですね。

そこで今日はコミュニティでのチーム運営について考えていきます。

■働き方の多様化が組織のありかたに変化を求めるようになった

コミュニティでのチーム運営について考えるにあたって、まずは少し話題を俯瞰して、世の中的な組織運営について、ちょっと考えていきます。

僕は仕事柄、経営者の方と話をすることが多いのですが、会社組織でも人やチームに関する課題を抱えている方がとても多いです。採用と育成、離職対策など悩みは多岐にわたります。中でも部下のマネジメントがうまくいかなかったり、マネジメント層の育成に苦労をされているという話は必ずと言っていいほど話題にあがります。採用に苦労していて、その上で離職も起こっているのでなんともしんどいなと思います。

マネジメントの難易度UPの一因として、働き方の多様化もあります。一つの組織に正社員、派遣、アルバイト、業務委託など、複数の雇用形態の方がいることも当たり前。すると組織内に様々な仕事観を持ったメンバーが所属するようになり、一律のマネジメントスタイルでは通用しなくなっています。最近ではプロジェクトやタスク単位での雇用関係である『業務委託』の働き方も増えてきました。これは仕事の受発注で関係が成り立っている雇用形態です。雇用形態上、現場で育成・トレーニングができないといった制約もあります。(育成するなら社員雇用しなさいと指摘を受けることもあるようです)当然マネジメントを効かせることも難しくなってきますよね。

『会社の付き合い』も変わってきました。代表的なものは宴会です。僕は上司の「飲みに行くぞ~」が発令されればみんながホイホイ付いていくという時代を生きてきましたが、今は違います。「宴会の時間は業務に含まれますか?」「定時で帰ります」という声に上司が個別に向き合っていかなければなりません。これに頭を抱えている人もいますよね。属人的になりがちなマネジメントはクオリティを均一化させることがとても難しいです。(上司が変わると業績が変わるということもしょっちゅうある)飲みコミュニケーションも大事だよねなんて言ったらパワハラだと言われて目まいがしたという仲間もいます(笑)

結果、個人主義にならざるを得ない組織も増えてきています。これは良し悪しではないのですが、組織としてのコミュニティの力が弱くなり、会社と個人との関係も変わってきているわけです。

そんな中、企業の現場で注目されているのはHRテックです。個人の気質をデータで明らかにしてコミュニケーションの最適化を行うという技術です。これによってマネジメントの効率を高めようという試みが多くの企業で研究されるようになりました。

■コミュニティの立ち上げにもHRテックが使えるのでは

今回も前置きが長くなってしまいましたが、このHRテックマネジメントの思想ってコミュニティのマネジメントにこそ有効だと考えています。コミュニティ内でプロジェクトを始めようというときに、メンバーを育成したりってなかなかできないですよね(笑)それに互いのことをそれぞれが深く理解しているとも限らない状態からプロジェクトがスタートすることも多いかと思います。

僕にはいくつかのコミュニティに所属する中で、コミュニケーションがうまくいかずにチームつくりに苦労した経験がたくさんあります。

例えば、イベントで誕生日サプライズをやろうよ~っという話になったときには、それ自体に反対するというわけではなくても、

・いいねいいね!考えよう!
・そもそもそれ必要ですか?
・急に方針変えないで下さいよ~先週そんなこと話してましたっけ?

こんな意見が出てくることってありますよね?この場面をリーダーがどうコーティネートしていくのかという話に「センスだよ」は乱暴かなと思うんですね。どうにかならんのかなと悩んだこともあります(泣)

そんなときに、あらかじめ気質として組織のクセや個人の特徴を知っておくと、個性ではなく気質から対応することができるようになるのではないでしょうか。これは『合わない人を避けたり排除しようという思想ではなく、合わない人はいない、対応性によって誰もがチームワークを発揮できる方法がある』ということです。また、データ活用によりコミュニケーションのロスを減らすこともできるはずだと考えています。万能ではないにしろ、コミュニケーションのヒントになればということで、僕も研究を始めたところですが、今日は実際にコミュニティ運営にHRテックを取り入れた事例について紹介したいと思います。

■FFS理論(Five factor and stress)をコミュニティに導入してみた

僕が所属しているコルクラボでは全員にFFSサーベイの受診をしてもらっています。FFSは個人の気質を5つの数字で表し、それらの組み合わせによって個人や組織内のコミュニケーションに生まれがちなギャップを明らかにして、対応性を高めていこうという理論です。詳しく説明すると長くなるのですが、僕を含め運営に関わるメンバーの何名かはこの理論の運用資格をとりにいき勉強会を行うようになりました。(FFSについての話はこのペースで書くとかなり長くなるので割愛します)

FFSを受診すると以下のことがわかるようになります

①合理的、感情的な部分のバランスがどうか
②組織内で判断力があると思われるのは誰か
③組織内で決断力があると思われるのは誰か
④思考の傾向が近い人は誰か、遠い人は誰か など

例えば、①についていえばバランスの異なる人同士では使う言葉の意味が異なることがあります。サプライズしようよ~というときの『そやなぁ…』という言葉が出た際に、ある人は『情報が少なくてやるべきかどうか適・不適の判断ができず何とも言えない』という意味があったり、また別の人は『おもしろいかどうかわからないので何とも言えない』という意味があったりしますが、このリアクションの傾向も気質によって整理することができます。

②③についてはじぶんの価値観が強いか、社会的価値観を重んじるかという気質の傾向によって整理することができたりするんですね。

そして④。思考の傾向が近い人同士で組まれたチームは短期PJでは早くチームが立ち上がるのでスタートダッシュに優れていますが、抜け漏れが発生しやすく最終的はアウトプットが浅くなる傾向があります。また思考の傾向が遠い人同士で組まれたチームは短期的には会話がかみ合わなかったり、衝突が生まれやすいのですが、相互理解が進んでかみ合ってくると補完関係を発揮できて深いアウトプットが生まれやすいです。

ちょっと極端な例を出しましたが、僕たちはチームを立ち上げる時には、はじめにメンバーのFFSをデータ分析して、互いの気質の傾向を理解できるようにして、陥りやすいコミュニケーションミスを先に知り、事前に手を打てるようにしています。プロジェクトチームごとにカルテができるんですね。

これをやり始めたことによって、相互理解のためにコミュニケーションに時間をかけなくても互いがストレスに感じやすいポイントを事前に知ることができたり、チームビルディングが早くできたりという事例が生まれています。また、プロジェクトが終わるタイミングで、答え合わせがてらチーム分析をかけたところ、もっと早く知っていればよかったのに・・・という声も必ず出てきます。相互理解が不十分なまま進行しているプロジェクトが多いということなんですよね。きっと。

まだまだこれからですが、僕はコミュニティへのHRテック事例をもっと磨き上げて、どんなコミュニティでも快適にマネジメントできるようにしていきたいと思っています。また進捗はこちらで報告したいと思います。

========================

いつもnoteを読んで下さりありがとうございます。

また続きを見ていただけたら嬉しいです。

なお、僕のツイッターは @kawahao です。

日々のコミュニティプロデュースの学びを発信しています^^

========================

最近はコミュニティマネージャーの方から、運営についての相談や意見交換をする機会も増えるようになりました。興味のある方、ご相談にのれることもあると思いますので、是非情報交換しましょう。ご連絡いただけたらと思います。

この記事が参加している募集

#とは

57,947件

頂いたサポートは、次に記事を書く時のアイス代にしたいと思います!