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老子も愚痴る【きまぐれエッセイ】

褐を被て玉を懐くかつをきてたまをいだく
錦のココロで襤褸ぼろを着る。
おのれ賢知けんちをあらわさぬ謙徳けんとくをたたえる。

ボロは着てても心の錦、どんな花よりきれいだぜ♪

[水前寺清子~いっぽんどっこの唄より]

老子も愚痴る(グッチ裕三編)

わしうことはシンプルでかんたんで、そしてすぐに実践できるものなのに、ああそれなのにそれなのに。
それを理解できるものがおらず、また実践するものもおらん。

なんてこった。

でも仕方がないんだなあ。
キレイごとで憂世は渡れないからのう。
儂のように高貴でキレイなことばかり云っておったんではオマンマの喰い上げになるじゃろうからのう。
可哀相な衆生たちよ……

ハッ、いかんいかん。
この儂としたことが。

なんてこった。

理解者がいないのは誠に寂しいものじゃが、だからといって寂しさを人に求めるて紛らわそうというのは憂世の倣い。
衆生から理解されないといってセンチになっているようではいけんいけん。

高貴だからこそ衆生にわかるわけがないのだ。
衆生にわかってもらおうなどと思うことはない。
襤褸をまとって心は錦。

これからも『いっぽんどっこ』のままでゆこうじゃあないか。


吾が言は、甚だ知り易く、甚だ行ない易きに、天下、能く知る莫く、能く行なう莫し。
言に宗有り、事に君有り。夫れ唯だ知ること無し、是を以て我れを知らず。
我れを知る者希にして、我れに則る者貴し。
是を以て聖人は、褐を被て玉を懐く。

[老子:第七十章知難]


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