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内なるいのちを大切に【きまぐれエッセイ】

世の中には、政治がうまくいっている国とそうでない国がある。悪い政治とは、まるで民衆が貧困に苦しみ、毎日が地獄のように感じるような状況を作り出すことだ。これは、政府が税金をむさぼり取って、民衆を支配しようとすることで起きることが多い。しかし、これがまるで健康維持のために、やたらとサプリメントを摂取し、怪しげな健康法や民間療法に頼る人々の姿に似ているのは興味深い。

ここで、ある実話を紹介しよう。以前、フィンランドの保健当局が栄養指導や健康管理の効果について科学的な調査を行ったことがあった。調査対象は40歳から45歳までの男性600人。彼らは15年間、徹底した健康管理を受け、ビタミンやカルシウムの摂取、適度な運動を続けた。一方で、同じ条件の男性600人は、健康管理を受けず、ただ健康状態のみを調査された。

15年後、驚くべき結果が現れた。心臓血管系の病気や高血圧、死亡、自殺など、すべての面で健康管理を受けたグループの方が悪い結果を示したのだ。医師たちは驚き、この結果を公表するのを控えたほどだ。

この実話が示しているのは、他者依存的になると、我々は自律的に働く自然の抵抗力を失うということだ。これは身体の健康だけに限らず、心の健康にも言えることだ。他律的な管理が行われると、自己喪失が生じ、内なるエネルギーが枯渇してしまう。

よりよく生きるためには、逆に「生きること」への執着を捨てなければならない。執着を捨てることで、初めて人間は本来の安らぎを得ることができ、社会全体の平和も実現する。

要するに、内なる命を大切にすることが、真の健康と幸福への鍵だ。外部の指示や管理に頼るのではなく、自らの内側から湧き出る力を信じ、自律的に生きることが重要なのだ。


為政者の生を求める私心を去るべきことを教えている。

[諸橋轍次]

民の饑うるは、其の上、税を食むの多きを以て、是を以て饑う。
民の治め難きは、其の上の為す有るを以て、是を以て治め難きなり。
民の死を軽んずるは、其の上の生を求むることの厚きを以て、是を以て死を軽んず。
夫れ唯生を以て為すこと無き者は、是れ生を貴ぶより賢れり。

[老子:第七十五章貪損]


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