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デクノボー仲間募集中。【きまぐれエッセイ】

純樸を保ち私欲を無くす。
聖智・仁義・巧利を棄て去ることが、道(タオ)にかえるゆえんである。
道(タオ)は、聖智・仁義・巧利など、粉飾されたものではなく、素樸なものでなければならぬ。
人間とはこうあるべきだとか、こうあらねばならぬとか、いままで刷り込まれてきたメモリーをクリアして、がちっとはまった鋳型をはずそう。
よろいを脱ごう。
素樸になろう。
デクノボー仲間募集中。

デクノボー仲間募集中。

どこかの田舎の掲示板に貼られた、手書きのポスターを想像してみてほしい。素樸を保ち、私欲をなくす――なんだか、まるで風に吹かれてどこまでも飛んでいく種子のような心持ちだろう。鋳型にはめ込まれた自分を解放し、まっさらな地面に根を下ろし、風と共に踊る。そんな自由な生き方を目指そうじゃないか。

聖智や仁義、巧利なんてものは、もう古臭い衣装のように脱ぎ捨ててしまおう。タオ、つまり「道」というのは、もっと素朴で、飾らないものだ。昔の哲人たちが説いたように、心の中に蓄えられた固定観念を一度リセットしてみるのだ。

あたしもそうした。何かに縛られ、誰かに評価されることに疲れ果てたある日、まるで重い鎧を脱ぎ捨てるように、社会が押し付けてくる「あるべき姿」から解放された。田舎の小さなカフェで、窓から差し込む陽の光を浴びながら、自分が本当に何を望んでいるのかを考えた。

そんな時、田舎の風景が心に染み渡るように、デクノボーの仲間たちと出会った。彼らは飾らず、ただそこにいるだけで、その存在自体が心地よかった。お互いに何も期待せず、ただ共に過ごす時間が、まるで古い友人と再会したような安心感をもたらした。

道(タオ)は、きっとこういうものだろう。デクノボーになることで、初めて見える風景がある。聖智や仁義、巧利などの重荷を下ろして、素朴な自分に戻ることで、本当の幸福に触れることができるのだ。

デクノボー仲間募集中。
素朴に、飾らず、風のように生きてみない?

[老子第19章:絶聖棄智]


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