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画家川田祐子ニュースレター@No.19ー2018-07【有料版】

暑中お見舞い申し上げます。

7月に入って、軽井沢銀座通りは沢山の観光客で賑わっています。

時代のニーズに合わせて通りのお店も様変わりしていく中、昔からのお店も所々残っていて、私が覗くのは、もっぱらそうした懐かしい場所。

その一つをご紹介しますと、通りの入り口付近の「高山」。鎌倉の小町には本店があり、夏の間だけ避暑として開店する骨董店です。奥まった静かな入り口右手には、いつも日本の近代作家の小品が展示されていて、去年の冬には、熊谷守一の暖かいオレンジ色の額装作品を楽しみました。春は、山中現の素朴な明るい色調の版画が出ていて、ちょっと前は竹下夢二の和服の女性像。そして今は?と通りがかりに目を向けると、黄色いさっぱりとした抽象的な小品。珍しいなと思って近づいて見ると、それは、東郷青児のドローイングで、やっぱり女性の横顔になっていたのでした。

奥にももっとあるのかなと、 久しぶりに店内を一周して、奥で涼んでいる親父さんに目で軽く会釈して、そそくさと出口に向かうと、アンティーク食器のコーナーに、エミール・ガレの小さな鶴首の花瓶。薄黄色の磨りガラスの素地に紫の被(き)せガラスの手法。紫の色が素地に滲んで見えるところがエミール・ガレらしい特徴が出ているのでした。一時期流行があって、沢山のコピーも作られているので、ちょっと見飽きた感がありましたが、改めて見てみると、なかなか魅力的でした。そこで思い切って次の週には。諏訪湖のほとりの北澤美術館にも足を伸ばして、ガラス工芸の技法を興味深く鑑賞して参りました。

小さな虫や草花に、自らの生命を重ねて詩い上げるガレの作風は、日本文化の影響も受けているとのこと。透き通った植物や昆虫たちを見つめていると、外の猛暑もすっかり忘れてしまうのでした。

この数日は、軽井沢でも日中は、気温も30度越え。冷房設備のないアトリエでは厳しい暑さが続いておりますが、お陰様で元気に制作に励む毎日です。r皆様も、どうぞ、熱中症などに十分気をつけて、この地球規模で迎えているという猛暑の夏を、無事にお過ごし下さい。

またこの度の度重なる災害におきまして、被災地および周辺地域の被害にあわれた皆様に、謹んでお見舞いを申し上げます。一日も早い復旧、復興を心よりお祈り申し上げます。

画家 川田祐子

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硝子の杣径(そまみち)
2018
oil on prepared paper
紙:57x38.2cm
画:55.5x37cm
作品詳細:https://kawadayuko.jp/atelier-gallery/product/garasunosomamichi/

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