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画家川田祐子ニュースレター@No.14ー2018-02【有料版】

1月の下旬には、初めて排水溝が氷り、洗濯機がストップする事態が発生。長野市内での生活よりも建物が木造で古いせいか、寒さもなかなか厳しい毎日が続きます。ストーブをつけてもアトリエはだいたい5度くらい。それ以上にするには、とても灯油代と労力がかさむからです。

長野市内ではトラックで毎週日曜日に灯油販売のトラックが市内を循環していましたが、軽井沢では人口も少なく、別荘族は薪ストーブ。目下、灯油は徒歩10分ほど離れたガソリンスタンドまで買いに行っています。キャスターに乗せたポリタンクを引きずり、2階まで持ち上げるのも一苦労。暖房と楽とを両天秤にかけ、結局少しぐらい寒くても楽の方をとることにしています。

寒さも慣れてしまうと、かえって暖房のかかった場所では息苦しい程です。むしろ、天然のお日様の力が本当にありがたいです。冬のよく晴れた日は、サンルームを活用して、アトリエで冷えた身体をしばし暖めながら読書します。

読書の目を休めて、ふと天窓を見上げると、空高く飛行する鳥の姿。大きな翼を広げたその姿は、カラスともトビとも異なるもので、タカらしき姿でした。

その日に読んでいた本は、図書館から借りて来た、中国の古典シリーズの『抱朴子・列仙伝・神仙伝・山海経』。最近、世捨て人のような生活になってきましたので、そもそも仙人とか仙女とはどういう由来でそうなったのかを調べてみることにしたのです。そうしましたら、面白いことがいろいろと書いてあるのでした。『抱朴子』によりますと、「仙人はいる」と信じる人こそが仙人となれるのだそうです。

しかしほとんどの人が、そもそも仙人に出会うこともないから、いくら書物で仙人になる方法を教えても本気で試す人もいないであろう。だから仙人は少なく、滅多にお目にかかれない。ましてや仙人は自ら仙人であると告白しながら歩いているわけではないので、誰もその人が仙人であるかどうかを確かめることができないし、ましてや万が一その人が「仙人」と名乗っても確かめようがない、と書かれているのでした。

ふと、これは何かと似ているなと思いました。そうです。『仙人』を例えば『芸術家』と置き換えられると気付いたのです。

なぜこのような生活が可能なのかはわかりませんが、ひとえに皆様の応援のおかげ様で、たとえ作品が売れない日が続いても、無名のままでも、最近は何の不安も悩みもなくなって参りました。ひょっとしてことによると、このまま行く先には、やがて制作への執着すらなくなって、もしかしたら人の知らないような場所で、一千年くらい生きることも可能なのではないかとすら、冗談で思うことが出来ています。本当に心から感謝する毎日です。

皆様は、どの様な冬を過ごされていますでしょうか?今年の冬の寒さはとても厳しいようです。どうぞ、くれぐれもお身体大切にお過ごしください。

画家 川田祐子

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2018
watercolor on paper
画:36.7x26.5m
紙:38.3x28cm
作品詳細:https://kawadayuko.jp/atelier-gallery/product/yuki/

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