見出し画像

【初出版『最強の法則』100】 vol.54:原稿のPDFは紙で見てみよう

前回は、ワード段階での原稿の修正に関してお話しました。
原稿の修正に関しては、下記の3つの段階があります。

①ワード原稿の段階
②PDF(ゲラ)の段階(初校、再校、三校または念校)
③印刷所に入稿前の最終チェック

今回は②に関してお話します。
②のPDFは、本文のデザインが組まれ、本文原稿や図、表、写真、イラスト、まとめなどを組み込んだ状態で出てきます
(初めから全て完成形で出てくることは少なく、図や表、イラストはスペースだけ空いており、「後送」と書かれているかもしれませんが)。
実際に発売される書籍の本文が、見開き状態で出てくると考えてください。
このPDFを作る作業をDTP(Desktop publishing)と言います。

PDFを作る前に、本文のデザインフォーマットを複数見せられるケースもあるかもしれません。
・1行を何文字にして、1ページを何行にするのか

・見出しの入れ方

・図や表、写真、イラスト、資料の入れ方

・ページの飾りつけや色使いはどうするか

など、編集者から編集意図を含めて説明があるでしょう。

読者ターゲットによってデザインは変わってきます。
男性の経営者向けと女性向けでは、明らかにテイストが違います。

1ページの文字組みも、その時代によって流行や傾向があり、最近では、1ページに詰め込む字数を少なくして、読みやすくしている傾向にあります。
一般的なビジネス書では、1行37文字~38文字、1ページ15行前後の本が多いはずです。
自分がモデル本、類書にした書籍の文字数と行数を数えてみてください。

デザインに関して自分の意見を言うのはかまいませんが、編集者とデザイナーの意図をしっかりと理解しておきましょう。

最初に出てくるPDFを「初校」と言います。
その後は、赤字を入れたり修正していくたびに、再校、三校…となっていきます。
念校というのは、「ほぼ修正がないだろうが、念のために見たい」という状態です。
もちろん、早い段階で修正が終わっているのが理想であることは言うまでもありません。

前回も書きましたが、PDFの状態では、修正は最小限にとどめておきたいのが本音です。

ワードに比べて修正が簡単ではないのと、
大幅に修正を加えるとページ数が変動したりするので、
予定のページ数に収めるのが難しくなるという事情があります。

PDFの修正は、画面上でソフトやアプリを使うケースもありますが、
編集者の修正方法の王道はPDFを紙にプリントアウトして、
赤ペンを使い手書きで修正を入れていく
方法です。
この段階を「赤字入れ」と表現する場合もあります。

「なぜ今どき、紙で修正するの?」と思う方もいるかもしれません。
確かに1冊あたり100枚以上の紙を印刷して(時には何度も)、
手書きで修正を入れていくというのは、資源と時間の無駄遣いと思われるかもしれません。

しかし、なぜか紙にしないと気が付かない間違いがあるのです。
人間の目や心理の習性なのか、画面だけでは、驚くような間違いを見逃していることが多いのです。
どの編集者に聞いてみても、同じような体験をしていると思います。

著者のあなたの修正方法は編集者と相談して決めていただいて構いませんが、1回はプリントアウトしてペンで赤字を入れていく方法をお勧めします。
実際に売られるのは紙の状態なわけですし、同じ文章でも画面と紙では見え方が違うので、新しい発見があると思います。

PDFをチェックしたらスキャンデータか紙の現物を編集者に渡して、DTP作業の担当の方に修正してもらいます。
その繰り返しで、本文は完成に近づいていくのです。

次回はタイトル決定、カバーや表紙のデザイン工程を見ていきます。
ではでは!

書籍を出版したい方を支援するグループを立ち上げました。 上から目線で出版に向けての指導やプロデュースをするという形ではなく、 著者が出版して目標を達成するまで、共に歩んでいく――そのような関係性を「出版パートナー」と呼び、私たちの理想形としています。 よろしくお願いいたします。