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【一人のアーティストの軌跡として観たい】


「人間として、アーティストとしてスゴい!」
最初に出た感想は、それでした。

昨日、映画「共に生きる 書家金澤翔子」の完成披露試写会に行ってきました。

映画は、NHK大河ドラマ「平清盛」の題字やローマ教皇庁に寄贈した「祈」の書などで知られる世界的書家・金澤翔子さんと母の泰子さん、関係者を取材したドキュメンタリー。
ダウン症である翔子さんが書家として認められるまでの努力や挑戦、彼女の書道の師でもある泰子さんがどのように彼女と向き合ってきたのかなどにリアルに迫っています。
監督は、著名な写真家で『うみやまあひだ ~伊勢神宮の森から響くメッセージ~』の映画作品がある宮澤正明さんです。


私は失礼ながら、翔子さんや泰子さんに関する知識がほとんどありませんでした。
そのためか、生まれつきの障害を持った人の生涯を追った映画というより、一人の優れたアーティストの素晴らしい作品と精力的な活動、その日常生活を純粋にドキュメンタリーとして観ることができたと感じています。

それは宮澤監督のスタンス、翔子さんと泰子さんに対する距離感がとてもいいという点も大きいと思います。
ダウン症をことさら大げさに取り上げず、専門家の意見も入れて冷静に説明し、翔子さんの「人間的特徴」として捉えているように感じたのです。


もちろん、ダウン症は当事者とその御家族にとっては大変なことに違いありません。
映画の中でも、翔子さんの作品を鑑賞する人たちの中に何人も、同じ障害をもつ子供さんのご家族がいらっしゃいました。
ご家族が涙ながらに、苦しみと悩みを泰子さんに打ち明けるシーンもありました。

しかし、障害だけに注目しても、翔子さんと泰子さんに失礼なことだと思います。
「ダウン症にもかかわらず、こんな素晴らしい作品を書けるなんて、スゴい!」ではなく、
「こんな素晴らしい作品を書けるなんて、スゴい!」でいいと思うのです。

映画は6月2日から公開されます。
書家・金澤祥子さんとその作品に関心のある方は、ぜひ観てほしい映画です。
私も再度、公開後に観に行きたいと思います。

https://shoko-movie.jp/#modal

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