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【初出版『最強の法則』100】 vol.82:出版から1カ月の売上げが勝負

本の売上げは何で決まるのでしょうか。
SNSのフォロワーの数?宣伝?著者のあなた、出版社の知名度?

累計800万部の大ベストセラー作家・本田健さんが下記のようなことを話していました。
「最初の1か月は人望で売れる。それからは人気が出るかどうかだ」

最初の1カ月はあなたのご友人や“応援団(ファン)”がどんどん購入して、
SNSで紹介してくれたり、口コミで広めてくれるでしょう。
「○○さんのためなら、何でもします!」
応援団からそんな声が聞こえてきます。実にありがたい話です。

実際、私も知り合った著者の方は、できる限り応援するようにしています。
著書を購入し、SNSで紹介し、クラブハウスのゲストに呼び、
お話をしていただきます。

出版記念のセミナーやトークショー、SNSライブに参加することもあります。

それは自分の担当であろうとなかろうと、変わりません。
「本が売れること自体が社会にとって善」と思っているからです。

そうして、
発売前重版、発売即重版、Amazonランキング1位など朗報が飛び込んできます。
このような“お祭り”は約1カ月続きます。
特に音声型SNS・クラブハウスでは、そういった動きが頻繁に起こっています。

しかし、本当の勝負はこのあとです。
いつまでもご友人や応援団の動きは続きません。
健さんの言葉を借りれば、
買う動機になった“人望”が人気になる必要があります。

あなたをまったく知らない人が買う段階、つまり「一般化」されないといけないのです。
あなたを知らない人が、「この本を読んでみよう」と思って買ってくれないと、それ以上は売れません。

とはいえ、出版社は発売1カ月の売上げ(初速)を重視しています。
ですから、初速が出ることを狙って、
発売1カ月に勝負をかける必要があるのは事実でしょう。

今は、POSと言われる書店チェーンごとの売上げデータや取次各社のデータなど、出版社内で見られるようになっています。
発売から1週間あるいは10日、1カ月と区切りのいい日に、
販売部の売上げ分析が出てくるのです。
編集者も毎日のようにPOSデータを見ている人が少なくありません。

“合格点”の目安は1か月で実売率30%を超えることです。
(もちろん、各社の分野別の基準がありますから一概には言えません)。
この場合、「初速がいい」という言葉を使います。
単純計算では初版3000部なら、1000部以上売れていると推定されるということです。

「推定」と言うのは、売れている本の部数が厳密には把握できないシステムだからです。
各書店に、店頭在庫がどのくらいあるのかわからないケースがあるのです。
店頭在庫の返品を恐れて、出版社は重版に関してはかなり慎重です。

早ければ翌月には返品されることはザラにあります。
段ボール箱から開封もされないまま、返品されることさえあります(ジェット返品と言います)。
出版社の在庫が足りなくなっているのに、重版するかどうかで編集側と販売部がケンカすることなど日常茶飯事です。

「発売前重版」「発売即重版」、そしてベストセラーがいかに特別なことなのか、
ご理解できると思います。
では、“お祭り”が終わる発売1カ月後以降に、売る戦略をどう立てていくのか。
次回はその点をお話したいと思います。
ではでは!

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