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思うは招く(プレゼンテーション2)

前回、プレゼンテーションの授業の事前課題ということで「先延ばし名人の頭の中」の話をしましたが、今日はその続き。

プレゼンには「エトス(信頼)」「パトス(情熱)」「ロゴス(論理)」という要素があります。古代ギリシャのアリストテレスが言い出したそうなのでかなり古くからの定説のようです。

「エトス」とは、話し手の人格や実績からくる信憑性。「この人が言うなら信用できる」という類のものです。人に限らず、本などでも『本屋大賞!』みたいな帯が付いていると、つい「面白いのかな?」と思ってしまいます。

「パトス」は聴き手の感情に訴える要素。泣きながら何かを訴えられたりすると、もらい泣きして心が動いてしまうことがあります。たとえ中身が薄っぺらくても。

「ロゴス」は論理的な説得力。相手の知性に響く組み立てと言葉の力です。このロゴスの具体例として紹介されたのが、なぜか吉野家の牛丼でした。

「早い・うまい・安い」(1970 年代)
「うまい・早い・安い」(1980 年代)
「うまい・安い・早い」(2000 年代)

有名なキャッチフレーズ、実は年代によって順番を変えているそうです。三拍子揃っているところは同じなのですが、早いことが珍しかった70年代、消費者の舌が肥えてうまさが求められ始めた80年代、景気が落ち込み安さが重視された2000年代と、その時々の社会情勢に合わせて変わっています。

タイトル写真はアニメ史上に残る名プレゼンである『機動戦士ガンダム』ギレン・ザビの演説シーンです。
「エトス」要素は、ギレンの「総帥」という地位と、オーラ、カリスマ性。
「パトス」要素は、情熱的な語りと、「弟を亡くした兄」という状況。
「ロゴス」要素は、IQ200と言われるギレンの論理的な演説内容。
みたいな感じでしょうか。IQ200 はエトスかもしれませんね。というわけで、やはり心に響くプレゼンはエトス・パトス・ロゴスを兼ね備えているのです。たぶん。


さて、授業では植松努さんという、北海道でロケットを作っている方のプレゼン動画が紹介されました。かなり良いお話だったので紹介させていただきます。

20分ぐらいありますが、絶対損はしないのでぜひ見ていただきたいと思います。特に、いま何かを頑張っている方、子育てをされている方などにおススメです。

「思うは招く」とは「思ったらそうなるよ」という意味です。植松さんは、素朴な雰囲気で、一言ひとことが とても短くて聞きやすいです。子供でも分かるように話されています。

「夢を持ってがんばることの大切さ」とか言ってしまうと陳腐なのですが、私が印象に残ったのは、子供の夢に対して「どーせ無理」と無責任に言い放つ大人の害悪でした。やったことがない大人が、「がんばっても どーせ無理だよ」ということを教えてくれる。「どーせ無理」は簡単で恐ろしい言葉なのだと。この言葉を投げかけられた人は、頑張る意欲を失ってしまうのだと。

植松さんは「どーせ無理」をなくして、「だったらこうしてみたら?」に変えていきたいと言っていました。私も全く同感です。無責任に否定するのではなくて、簡単にあきらめない世界、前向きな提案であふれる世界になってほしいと思いました。

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