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読書記録「アンの友達」

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

今回読んだのは、モンゴメリ 村岡花子 訳「アンの友達」新潮社 (1957) です!

モンゴメリ「アンの友達」新潮社

・あらすじ
アヴォンリーで生活しているのは、何もアンやダイアナだけではない。一人ひとりに人生があって、そして厄介事やトラブルを抱えているものである。

ある夫婦は、これまで15年間も婚約生活を続けているにも関わらず、今まで一度も会話をしたことがないらしい。15年もだ!一族の結婚式が行われる日、2人は珍しく一緒に帰路に着き……(「ルシンダついに語るより」)。

ある老人は、都会の学校に行った一人娘のセーラの帰りを待ち望んでいた。だが隣人の嫌味を聞いて、老人はたじろいでしまう。こんなみすぼらしい家になんて本当は帰りたくないのではないかと(「ショウ老人の娘」より)。

ある少年は、亡き父の影響もあって素晴らしいバイオリンの天分があった。しかし、牧師である祖父は演奏者としての道を認めず、同じ牧師としての道を歩んでほしかった(「めいめい自分の言葉で」より)。

ある老淑女は、かつて愛した男の娘さんが学校の先生として赴任されたことを知り、かつてのロマンスを思い出す。しかし、こんな落ちぶれた老人と親しくなりたくもないだろうと葛藤し……(「ロイド老淑女」より)。

そんなアンの周辺にいる人々の、思わぬ事件やロマンスを描く短編集。

先月の読書会で「アンの愛情」紹介した際に、「アンの友達に出てくる『隔離された家』が面白いから読んでみて」と伺ったため、これは読まねばと紐解いた次第。

確かに「隔離された家」は面白かったです。天然痘の可能性のため、隔離中だった男の家に入り込んでしまった女性とその飼い猫。

嫌味と皮肉を言い合いながら、何だかんだ仲良くなっていく物語。確かに、掃除しなきゃなって時に読むと良いかもしれないね。

ときに、「アンの友達」というタイトルでありながら、実際のところアンと直接関係のある友人は少ない(そもそも原名は"Chronicles of Avonlea"で、「アヴォンリーで暮らす人々の記録」だ)。

幼い頃のアン・シャーリーを知っている老婦人や、アンの親友であるダイアナとはいとこ関係の人、日曜学校でアンのクラスを受け持つ先生、の知り合いなどだ。

とは言え、そんな本編には直接関係のない人々だとしても、全くの無関係というわけではない。

ひとりでいたい人は天意にそむくわけですからね。天は人々自身のためからいって、ひとりでいるべきでないと、お定めになっているのですから。

同著 八「隔離された家」232頁より抜粋

少なからず、私たちは様々な人たちの影響を受けている。会社ならば、毎日顔を合わせる先輩方々以外にも、顔は知らなくても噂だけ知っている他部署の同期もそうだ。

そういう人々の噂話を聞くなり、振る舞いを見るなりして、自分もしっかりしよう、同じ轍を踏まないようにしようと思うものである。

きっとアンにとっても、リンドの小母さんの噂話として聞いていただろうし、実際に彼・彼女らの振る舞いを見ていたかもしれない。

だからこそこの作品は、アンの人生に少なからず影響を与えた人々の物語であるとも言えるのではなかろうか。

私たちの人生もまた、様々な人々の影響を受けるように。流石にそれは深読みし過ぎかもしれないが。それではまた次回!

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