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書籍「僕は人生を巻き戻す」の感想(強迫性障害の本)

書籍名:僕は人生を巻き戻す
著者名:テリー・マーフィー
翻訳者:仁木めぐみ
単行本:236ページ
発売日:2009年8月

アメリカ人の青年が強迫性障害を発症し、それが重症化して何年も苦しい生活を続けたものの、あるきっかけで快方に向かい始め、やがて治っていくまでの実話。
これは強迫性障害の治療法の解説書ではなく、主人公の人生の一部を記録した本である。
そのため登場人物の人となりや人間関係に重点をおいて書かれており、強迫性障害の治療法について詳しくは書かれていない。

時間が進むことへの恐怖

本のタイトルの通り、主人公は時間が進んでしまうことに恐怖を感じている。
幼い頃のある出来事がトラウマとなってOCDを発症した主人公は、時間が進むのを防ぐため(時間を巻き戻すため)に、自分がやった行動をそのまま「逆再生」し、進んだ時間を「無かったこと」にするという儀式をしている。

例えば、自分が歩いたところをそのまま後ろ向きに歩く行動などは、まるで漫画に出てくる忍者が自分の足跡を消して追っ手を混乱させる技術さながらだ。笑
自分の行動を逆再生しても時間が巻き戻されるわけがないのは誰でも知っていることで、このような奇妙な儀式は強迫性障害でない人から見れば完全に意味不明で理解の域を超えている。

OCDという病気が現在よりも一般的に知られていない時代だったということや、生活環境や性格なども影響して、主人公のOCDは極度に悪化してしまう。

OCDの専門家と出会う

OCDが今よりも知られていなかった時代なのにも関わらず、主人公は運良くOCDを専門にする医師と出会うことができる。

医師の治療ですぐに治るわけではないが、ある出来事が病気を快方に向かわせるための大きな転換点となる。
これにより主人公は「病気を治したい」という強い思いを持つようになり、もともと本人に備わっていたガッツにより、長い期間はかかるものの、やがて病気は快方へ向かっていく。

ストーリー仕立ての本

この本は普通の小説の単行本と同じサイズで236ページあり、それなりに文章量がある。活字が苦手な人には読むのが結構大変かもしれない。

前述の通りこれは治療法の解説書ではなく、主人公の人生の記録である。人となりや人間関係をメインに書いたストーリー仕立ての本であることはあらかじめ理解してから購入したほうがいい。
治療法の解説が知りたくてこれを買ってしまうと、おそらく読んでいて「あれ?」っと期待していたものと違うと感じることになるだろう。

主人公だけでなく、医師の若い頃の話などにもかなり多くのページ数があてられている。
OCDとは関係ない部分が多いので、治療方法が知りたい気持ちでこの本を読んでしまうと無駄に長い本と感じることになるかもしれない。

この書籍は在庫があまりないようなので新品で見つけるのは難しいかもしれないが、ネットで中古の本を探せばすぐに見つかるだろう。
不潔恐怖で新品の本ばかり買っている人はあえて中古でこの本を買って読んでみてはいかがだろうか。

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