歴史シリーズ① ハングル文字は〈縦書き時代〉の方が実は長かった?

〈ハングル〉というのは〈韓国・朝鮮・コリア語〉という意味ではないです。(知っとるわ!とご叱責喰らいそうですが)

ハングル(hangul)・・・とは、韓国語の発音を書く為の

ㄴ ㅁ ㅂ ㅎ・・・

これらの文字の名称です。
上の文字は4つを例として挙げたのみですが、これら文字について少しみてみますと・・・
は舌の先が前歯と歯茎の間に軽くあたった様子の絵を文字化したものらしいです(ローマ字ではnに該当)。
は口が閉じた様子を表し(ローマ字ではm)、 をもとに作られ、口が少し開いた様子(空気破裂音となる)を表した文字と言われます(ローマ字ではp)。
はローマ字ではhに該当ですがこの文字は、朝鮮王朝時代の公務員さん(詳しくは文グループと軍人グループで両班といいます)が、黒長の帽子をかぶってる様子に似てると個人的に思っています(韓流時代劇でイケメンさんがよく着てる衣装ですね)。

と前置きが長すぎましたが、
このハングルはローマ字と同じくで、現行は基本的に
横書きで書かれています(新聞も本も雑誌もテレビのテロップも)。
なのでハングルは横文字だ、と思っている方は相当多いと私は勝手に思ってますが、
実はハングル文字はその完成当時は
縦書き
であり、また、
現行の横書き期間より、縦書き期間の方がはるかに長かったようです。

ハングルは朝鮮王朝時代の14世紀に完成されましたが、
当時の書籍もその後の書籍も、実は20世紀まで
縦書きが主流だったようです。昔は
中国の漢字はじめモンゴル帝国のモンゴル文字も、清王朝すなわち女真・満州帝国の満州文字も、コリアのハングルも、日本の文字であるひらがなも全て縦書きだったということのようです。

コリアでは仏教(佛教)書籍の漢文→朝鮮語の翻訳や(ハングル完成時の世宗大王は仏教をかなり研究した人でした)、文芸隆盛時代の文学作品の多くはハングルでやはり縦書きに書かれていたそうです。また、
20世紀には大韓民国即ち韓国でも、私の知る限りでは
縦書き本がありました(20代の時分に韓国の図書館で確認)。

参考に・・・以下は1940年代の資料で、当時の雑誌≪三千里≫と≪野談≫からのものです。

〈通俗新羅史〉。新羅といえば韓流ドラマ≪花郎≫の舞台の国シルラですね。ここにはたしかドラマでも出てきた眞興王(たしかドラマではゼアの歌手さんが演じていたと記憶してます・・・)の業績に触れていて、王が晩年に剃髪して仏門に入った・・・と記されています。1940年代当時は漢字とハングルの混合形が使われたことがわかります。

実はこの混合形は、韓国と日本は共通の漢字語も多く、現在でも韓国語学習者さんに幾分役に立つと思います・・・なぜかというと、
こういうのを読んでると自然に、現行のいわば
〈ハングルだけで書きます時代〉
の文章でも、これがあの漢字で、これがあの漢字だな、と徐々に感じをつかめるようになるからなのです
(私は韓国語学習者さんに漢字混じりのハングル文章を提供することはものすごく実力になると思っています。日本と共通の漢字が→韓国式発音になるんだな、とつかめるからです。特にコリアと日本では漢字の発音が似ているものがけっこうありますね)。韓国語と日本語は語順も多くが共通するので、なお強いです。

ところで・・・話は変わってハングルには、現在は消えた文字もあります。特に



です。これはローマ字に該当したそうです。とくに
この文字は日本語の〈ざ行〉の表記にも使われたらしく
≪倭語類解≫等の朝鮮王朝時代の本で、日本語はこの
△を使いけっこう紹介されてたりします。これが現在も残っていれば、
韓国の方が日本語を学習されるとき
〈ざ行〉の習得に助けになったかも…?と一人で思っています。

고△ㅏ이마스(ございます・gozaimasu、現行ハングル綴りの一例は→고자이마스)

もしこの△が現在も生存していたら、
ハングルには✖以外
△、〇全て生存した、という計算になる・・・ふむふむ・・・とかやはり一人で思っております。


 

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