見出し画像

「広報」が定義されたことから考える


「広報」の定義って知っていますか?
知らなくても当たり前です。実は、いままでありそうでなかったのです。
定義はない。でも、みんな知ってる言葉。
それが「広報」です。
となると、混乱や誤解が生まれます。

SNS(とスマホ)の普及によって企業だけでなく、誰でも情報の発信者になれる環境の中で、「広報」は社会に暮らす全員に関わりがある言葉であり、活動です。

そんな中、2023年6月、日本広報学会は2021年の秋頃から約1年半の時間をかけて、
「広報」の定義を発表しました。
それがこちらです。

英語版もあります。日本語から受ける印象と異なる所がありますね。

ポイント

・組織や個人(organizations and individuals)
 これが主語であり主体。個人も広報の主体足り得ます。

・目的達成や課題解決(achieve objectives and solve problems)
 これが目的。広報の目的は目的達成や課題解決であり、広報そのものではない。

・社会的に望ましい関係(socially desirable relationships)
 目的達成、課題解決を行えれば良いわけではなく、社会的に望ましいことが条件。
 誰かや何かを抑圧する関係をつくるのは「広報」ではない。

・双方向コミュニケーション(two-way communication)
 特に双方向であることを明記している。
 つまり、一方通行のコミュニケーションは「広報」ではない。

・経営機能である(A management function)
 「広報」は広報担当者(部署)だけではなく、経営機能であるので経営者を含めて
  組織全員に関わりがあること。

「広報」の歴史は約100年あります。
新聞やラジオによる大衆向けのコミュニケーションの出現が大きな転換点でしたが、歴史上「広報」の技術は、前世紀ではナチス政権運営、最近ではロシアによるウクライナ侵攻などでたびたび悪用されていることも事実です。

そのためスタンダードとしての「広報」の定義はとても重要な意味を持ちます。
「売る側」と「買う側」
「主権者」と「政府」
「学校」と「生徒」
などにおける、社会的に望ましい関係とは何か?も考えることは、この定義が示している宿題です。

加えて重要なことは、この定義は”正解”ではなく現時点での“今後の広報のあるべき論の議論のスタート台”(広報学会理事長 柴山慎一 氏からのメッセージ)であるということです。

「広報」の対象は、下図のように学会の資料に示されています。
 パブリック・リレーションズだから、コーポレイト・コミュニケーションだから「広報」に関係がないのではなく、含んでますよということも言及されています。

一緒に考えてみませんか?
スーパーでの販促キャンペーンも「広報」の一形態になるので身近な話です。

<広報学会のウェブサイト>はこちら
『広報の定義と解説(本文)』
『広報の定義と解説(概要)』


編集猫 KAURU memo

メーカーとお客様の、社会的に望ましい関係ってなんとなく考えた方が良いけど、先送りにされてきた課題の気がしますニャ。
複数のメーカーで連携できると良いかもニャ。ひとつの会社では難しいから複数の企業の連携がある業種、たとえば、本屋さんならできるかも。


書いた人