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台湾の台北以外の地方都市で起業するというゲームの攻略法

*本記事は2023年6月18日にFacebookに投稿した記事の転載です

台湾自営業ゲームの台北以外の場所でのゲーム攻略について実態人口を踏まえて、今現時点での自分の脳内を忘備録として残してみる。というか、FB投稿は誰かにお伝えする風で、そもそも自分へのリマインドとして書いてる。

前回の #齋藤洋一郎の台湾自営業 にて、台湾は台北圏の極端な一極集中社会であり、台北圏の消費が70%、台北圏以外の消費が30%で、各都市の実態人口は統計人口の数分の一であり、例えば、人口統計による台中市の人口は282万人ですが実態人口は約69万人と約1/4で、逆に台北圏は統計人口650万人に対して実態人口は1600万人。その仕組み構造を示した。

そんな環境下で、私が私自身の実体験も経て学んだ台中や彰化など台北圏以外の場所での自営業ゲームする際の実態人口を踏まえた攻略ポイントのベクトルを3つ示す。

Point 1:少なく売る。なるべく少ないお客さんで成立する道が善。満席とかお客さんが沢山とかは悪。

Point 2:相対的高価格+高満足が善。低価格+高満足は悪。

Point 3:リモート利益を作る。

では、詳しく解説します。

Point 1:なぜ、少なく売るのか、たくさん売るのが悪なのか?
分かり易い例としてラーメン屋を例に取ります。ラーメンて台湾人にとって日常食ではありません。仮に一週間に一回はラーメンを食べるとしても、そのラーメン屋も、あっちこっちに色々な店があるので、前回はあっち、今回はこっちというふうに巡回しながら食べて行くとすると、結構まあ、多くの場合、多くの人にとって、まあ、おおよそ、同じ店の同じラーメンを食べるのは半年に一回とか、そんなもんだとします。またラーメンというのは台湾人にとっていわゆる日常食ありませんし、ご高齢の方なんかにとってはほとんど興味もないでしょうしも考えて、嫁の家族親戚の台湾人に聞いても一蘭を食べたことある人なんて誰もいないので、まあ、いいところ、人口の1/10くらいが見込み客層かなぐらいとしましょう。台中の実態人口は69万人ですから、その1/10だと、週に一回はラーメン食いますみたいな積極層の人数は6万9000人となります。
じゃあ、一なんとかさんみたいに、大型店にして、鳴物入りで今日も大入りですみたいなで一日500杯販売みたいなことしたとします。すると、一ヶ月で500x30=15000杯、すると、四ヶ月で60000万杯、五ヶ月で75000杯となります。でも、よく考えてください、ラーメン積極層は69000人で、その人があっちこっち行く中で同じ店に来るのが半年に一回だとすると、もう、四か月半で69000を超えてしまってますよね。これ早晩いずれ回らなくなりますよね。

でも、もし、これが台北圏なら、一日500杯どころか一日5000杯販売したところで一ヶ月15万杯、半年で75万杯。台北圏の実態人口1600万人で同じくラーメン積極層が1/10だとして160万人。160万人に対して販売数が75万杯。つまり全然まだまだゆとりがあります。だから、これは延々と回せます。

要は湖の中の魚、海の魚を獲る際には、適切な漁獲量があるということ。そして適切な漁獲量を超えて獲りまくると湖や海の魚が絶滅してしまう。漁獲量を適正に保ち、常に生き残りの魚が新たに親魚を産み、魚が絶滅しないようするのが極めて大事なわけです。

じゃあ、さっきのラーメンを一日500杯じゃなくて、半分の一日250杯にしたらどうなるかというと、一ヶ月で7500杯、半年で45000杯。これは69000以下ですよね。だから回ります。ということは、適正な漁獲量は一日250杯程度ですよということになる。

もちろん実際にはここまで単純ではなくて、他県からの流入分とかも含めて様々な要素があるけれども、ひとまず考え方の方向性としてはこんな感じです。

Point 2:低価格高満足より高価格高満足で地元客以外を増やせ
台北圏に70%の消費が一極集中する台湾において、台北以外の都市では実態人口が戸籍人口の数分の一しかない。にも関わらず、以前の私もそうでしたが、それを知らずに戸籍人口の数を当てにして出店してくる事業者が後を立たないので、サービス提供側とお客の数の需給バランスが悪い局面が多くなります。

そのような状況下において、漁獲量の問題はPoint 1の解説で述べた以上にシリアスになります。実際の魚の数が数分の一しかいない漁場で、漁師が網をあげ合うわけです。

実際、自分は、以前このような戸籍人口と実態人口の違いも知らず、漁獲量のことも考えずに店舗経営をしていた頃、近隣競合関連と思われる方から、様々な形で嫌がらせというか、要は齋藤の店が無くなればいいと考える方からの攻撃を受けて来ましした。大体は政府に対して「あの店は◯◯な違法行為をしている」というようなチクリをして、それに対応する政府当局が、私のところにやって来るという流れです。例えば、合法労働の日本人しか採用してないのに、あの店に非合法外国労働者が働いているとのチクリが入れられて、当局がやって来るとかです。

で、これは、いわば適正じゃない漁獲をしているから起きるわけです。ましてや飲食店やら美容院やらで、「今までは◯◯に常連で行っていた地元のAさんが、最近、齋藤の店によく行ってる」みたいなケースが増えれば、そういう問題は、もっと起きやすい。
しかし、もし、それが地元のAさんじゃなくて、遠方のBさんであれば、このような問題は起きにくくなる。
なので、自分の自営業の客層比率の「地元客以外の比率」を高めるというのが、一つとても重要な戦略視点となる。

で、じゃあ、地元以外の客比率を上げるのか?というと、それが相対的高価格+高満足です。要は、自分の店がある商圏商店街まで、わざわざタクシーに乗って数百元とか払ってまで来るとか、2000元3000元4000元などのホテル代まで払って来てる人は、そんなちょいちょい安いことなんて気にしてなくて、それよりも折角来て失敗して残念な思いするより、ちょいちょい高くてもいいものを選ぼうとするようになります。

分かり易い例でラーメンで言うと、旅行なり出張なり何なりで遠方から来た人が、そのホテルのある商圏で何かラーメン食おうと思って調べて、Google Mapで色々と調べて、その地域のミドルクラスがラーメンが相場250元くらいで数軒ある中で、1~2件350元くらいのハイクラスがあってクチコミの評判も良かったら、もう、かなりの人が350元の方を選ぶ。そもそも移動して、ここに来るまでに何百元何千元を払ってる人からしたら、そんな250元と350元の差なんて微差。高くていいから良さそうな方を選ぶ。串焼き一本60元と100元なら100元を選ぶ。新規に遠方の客に来て頂く際、ちょいちょい高い方が有利なのだ。

とはいえ、ただ高いだけではダメで、だから相対的高価格じゃなく相対的高価格+高満足と高満足が付く。遠客はまず初見で顔見知りなわけではないし、お互いの共通の友達がいるわけでもないので、満足度が低ければ、SNSに★1を付ける確率は地元客に比べて圧倒的に高い。そして一方で遠客に来てもらうにはSNSの★とクチコミは超重要。なので高満足が重要となる。地元客比率が高ければ高いほどSNS★は関係ない。しかし遠客比率を高めようとするならSNS★は関連度は増す。そして漁場漁獲量的に遠客比率を高めるのが大事と言ってる。つまり相対的高価格+高満足というのが大事になる。

ここでPoint 1とPoint 2をまとめると、
漁場に応じて適切な漁獲量があり、台北圏に70%の消費が一極集中していて、残り30%を他の全ての都市で分け合う環境下においては、少なく販売しても事業が成立するようにしつつ、更に相対的高価格高満足のポジショニングをして遠客比率を高め、地元漁場を荒らさずに地元と良好な保ち、なんなら、理想的には遠客の集客力を高めて、そうした遠客に地元で消費してもらい地元に貢献する。ということです。

で、一応、言っておくと、低価格高満足、コスパ良し、地元民に大人気、地元客で沢山、みないなのも、地元愛的にも、もちろん存在していいと思います。ただ、それは地元の人がやるべき事であって、余所者がやる事じゃなくて、ましてや外国人がやる事じゃない。
限られた適正漁獲量の漁場の限られた漁場に余所者が大網から高性能釣船までアレコレ持ち込んでガバーっとしたらどうなのかと。商店街に突然コスパ良し品揃え良し、飲食店でいうならコスパ良しメニュー豊富という感じで来たらどうなのかと。

今の私の飲食店舗事業は2017年に開業しました。自分自身は、日本では東京、台湾では台北で仕事してきて、一極集中側の経験が長く、当初、その経験、その脳内、その作戦で漁獲量とか全然気にせずやって来て、どうしても上手くいかなかった。当時、売上は今の二倍、三倍出してたけど、じゃあ、その売上で利益はどれだけ残ったのか?というと全然残らない。利益が出ても、何処からか訴えられて罰金が出てとか、税務署が来てガッチリとか、結局、無くなる。銀行残高は開業前残高を超えない。超えたと思っても、何かしら問題が起きて減るから、やっぱり超えることはない。

それを昨年2022年後半から、この方針に沿った形で調整してきて、意図的にメニューも少なくして、意図的に客も少なくして、意図的に売上も少なくして、どうなったかというと、結果、利益が残って、銀行残高も増えてきて、もう少しで銀行残高を開業前をクリアして、初期投資も全て回収して、事業としての純利益が残るようになる。

で、当然、これって漁場と漁獲量に応じた対応を取ったからです。ただ、裏を返せば、もうこれ以上は無いということです。まあ、良いとこ、あと少し上積みできるかな、くらい程度。

そこで次の一手は何かというのが、
Point 3:リモート利益を作る
何かというと、もう、これ以上は無いのだから、これ以上を考えるなら、此処じゃない外の売上と利益を作りましょう、ということ。石油を掘って海外に石油を売るとか、ネジを作ってネジを台北圏に売るとか、そういう話。
で、今現状の私は、これに関して全く手付かず。何ができるのか、何をしたらいいか、というのは、現時点で全く無い。ただ、台中x日本人とか、嫁さんの実家の南投x日本人とか、自然に自動的に得られてる条件が優位性となる何かを模索したいと考えてはいる状況。何かアイデアやアドバイスなどあればコメントで教えてもらえましたら幸いです笑

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