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自衛隊のスーダン邦人退避任務成功の理由とは?

 4月24日に国内での戦闘が続き、危険なスーダンからの避難を自衛隊の輸送機で行われました。
 退避作戦の実行も懸念された今回でしたが、退避を希望する日本人の多くを連れ出す事はできました。果たして成功の要因を考えてみます。

情報収集と他国からの協力



 今回のスーダンの退避でまず焦点となったのが、スーダンの首都ハルツームにある空港が使用できるかどうかです。
 ハルツームにある大使館へ集まった邦人をハルツーム空港に向かわせれば、すぐに自衛隊機で退避が可能でした。
 しかしスーダン国軍と準軍事組織RSFの戦いはその始まりから、ハルツーム空港でも戦闘が行われていました。
 この為にハルツーム空港に自衛隊機が向かうのは危険とされた。
 そこで自衛隊や防衛省・外務省は別の避難ルートを検討していたと考えられる。スーダン内の状況と使用可能な空港や港湾・道路の情報を集める必要がある。
 混乱状態のスーダンの状況を短時間で把握するのは難しい。
日本のみならず同じく退避作戦を行っているアメリカやイギリス・フランスなどの国々からの情報も集めたものと思われる。
 情報収集の中で、スーダン北部にあるポートスーダンの空港が候補に上がったのでしょう。
 ポートスーダンならば危険は少ないと判断して自衛隊機はジブチから出発したのです。
 武井外務副大臣は「韓国・フランス・ドイツ・アメリカ・イギリス・アラブ首長国連邦(UAE)・サウジアラビアなどから協力を得た」と語っていて、スーダンからの退避作戦が各国協力無しでは遂行できなかったのです。

邦人の陸路移動が成功



 今回の邦人退避作戦で成功に至る一番の要因は、邦人と自衛隊機が合流できた点でしょう。
 2020年のアフガニスタンからの邦人退避作戦では、カブール市内のホテルに集合した邦人達がバスで空港に移動しました。
 バスで移動している時に、カブールの空港周辺で自爆テロが発生してしまいます。
 混乱する空港周辺、警戒を厳しくする米軍、こうした悪い状況により邦人は空港に入れず自衛隊機に乗れませんでした。
 今回のスーダンからの退避はハルツームからポートスーダンへ陸路移動する必要がありました。道中で乗っている車両のタイヤがパンクして立ち往生するトラブルがありましたが、2020年のカブールのように危険が発生して、目的地に行けないと言う事はありませんでした。
 また、この陸路移動では通る道を二手に分かれての移動も行われ、全員が足止めされる状況を回避している
 車両の手配と移動ルートの選択が上手く出来たと言えます。

それでも危険だった



 今回の自衛隊によるスーダンからの邦人退避作戦は成功でした。
 自衛隊機を派遣しての在外邦人避難では一番多くの人数を無事に運べた結果にもなりました。
 とはいえ、退避するフランス人を乗せた車両が銃撃を受けたり、スーダンの空港に着陸するトルコの航空機が銃撃されています。日本人と自衛隊が危険に遭わなかったのは危険のリスクを回避できるルートを選んだとは言え、危険な状況の中で行われた事に変わりはありません。

成功した要素



 成功に導いたのは早めに自衛隊機をジブチへ派遣し、現地で自衛隊と邦人の動きが揃った事がまずあります。
 早く動く事で各国の動きと合わせて動ける利点もあり、今回のような協力を得る事も可能でした。
 そして陸路移動が無事に済んだ事や、韓国やフランスの航空機に邦人を乗せて貰えるなどスムーズに退避が出来た点もあります。
 決断と行動の速さ、他国からの協力が得られた。
 この二点がスーダンからの退避作戦成功に繋がったのです。

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