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その子(sonoko)との再会

その子はピアノが上手だった
その子は水泳がうまかった
その子は体が柔らかかった
バレーをやっていたから

その子は

可愛かった

その子は

僕の初恋のひと

その子と久々に会ったのは
1年半前の、とある図書館の公園

その子はお子さんを2人連れていた
「もう1人下にいるの。」とその子は言った

会社を辞めることになり、
公園のベンチでうなだれていた

僕の名前を呼ぶその子の声は
あの頃と変わらないように聞こえた

公園で遊ぶその子の子供を眺めながら
ぼくらはなんでもない話をした

当たり障りのない大人の会話が続いた

そういえば
小6のとき、その子と隣の席になった

僕がその子のことを好きだと知る
バカなクラスメートが僕をちゃかした

ヒューヒューと

くだらない

それからその子は
僕と机をくっ付けてくれなくなった
次の席替えまでずっと

10センチほど離れた机がさびしく記憶に残る

その子と隣の席の間も
それ以前も
それ以降も
ずっとその子を好きだった

小学校を卒業し
ほとんどが同じ中学へ進む

その子は家を建て
別の中学へ行ってしまった

僕はだんだん
その子を忘れていった

あの頃の僕は
その子との未来を勝手に妄想した

今考えても
気持ち悪いくらいの片思い

その子と一緒になる未来は叶わなかったにしても

あの頃、妄想していた未来の自分に
僕は今、なれていない

その子が公園から帰った後も
僕はしばらく公園のベンチに座り続けた

あれから1年半経っても
小6で妄想していた未来の自分に
僕はまだなれてはいない

いろいろとしがらみはあるし
そう簡単に人生を変えれる訳もない

僕だって
家族を持つ、責任ある大人なんだ

一応…

1年半前
前の会社を辞める時はいろいろあった

でも、その子と再開したあの日に
僕は思い出すことができた

小6の僕が描いていた未来の自分と
あの頃の希望に満ちた感覚を


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