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嘘グルメ 第一話「雄のニワトリのトサカ」

山奥で自給自足の生活をするようになってから、、そうだな二十年は経ったかな。忘れちまったよ(笑)

こう見えても昔は東京の港区でバリバリ働いてたんだ。「24時間戦えますか?」って時任三郎がCMしてたあの頃、、パリッとした良いスーツ着てよぉ、夜には女たちと朝まで飲んでそのまま仕事よ(笑)だけどなんかモヤモヤしたのが心にずっとあってよ。いつだったか朝目覚めた時に「もういいや」っつって、その足で家だの仕事だの全部やめてここに来たんだ。それから二十年。まだお前の下の毛が生えてもない頃よぉ!(笑)

…ここはいいぞぉ。朝日と共に目覚めて、日が沈んだら寝る、それの繰り返しだ。冬は死ぬかと思うぐらい寒いんだけどよ、、春になるといっぱいの花が咲くんだ…。それがさ、、いいんだわ(笑)

え?俺のイチオシの食事を教えろってか?こんなとこまで来ておまえも物好きだな!そうだな。春に取れる若タケノコを焼いて塩かけて食うやつもうめえし、秋になる木の実もうめえんだが、やっぱりあれだな。ここらへんにニワトリを飼って放牧してんだけど、雄のニワトリの、、トサカ。あれがうめえんだわ(笑)

雄のニワトリを捕まえたら絞めて1番最初にトサカを手で剥ぎ取る。それを煮立った湯にぶち込むとゼラチンの塊だから溶けてくんだよ。そこにブツ切りにした鶏肉をぶっ込んで煮込む、野菜なんかいらねぇよ。ある程度したらカレーのルーを混ぜてこれでもかってぐらい熱々の白ご飯の上にかけてみろ。トサカに凝縮された旨味がこれでもかって出ててよぉ、これが、、うめえのよ(笑)

生き生きと語る彼の向こうにピントを合わせると、厳しい冬を乗り越えた花がいっぱいに咲いていた。

「雄のトサカカレー」

材料(4皿分)

カレールー 2/1箱 70g
鶏肉(もも) 300g
雄のトサカ 1トサカ
水 600ml

作り方

1 雄のトサカをひきちぎる。

2 ひきちぎったトサカを煮たった湯に放り込む。約10分煮込んでトサカが溶けるまで待つ。

3 ぶつ切りにした鶏肉をぶっ込む。沸騰したらあくを取り、弱火~中火で鶏肉が柔らかくなるまで約15分煮込む。

4 いったん火を止め、ルウを割り入れて溶かし、再び弱火でとろみがつくまで約10分煮込む。

※本文に出てくる料理は、嘘です。

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