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嘘グルメ第25話「豚のみぞおち」

豚には一般には知られていない部位がある。その部位を一度食べると、どんなに機嫌が悪い人でも満面の笑顔になり、盛り上がらず沈黙ばかりが続くパーティーでも皆が饒舌になり盛り上がるという。その部位の名は「豚のみぞおち」。口の中に入れると、その歯応えのある食感とは矛盾するように溶けていくそうだ。。そんな噂を聞いて、私はとある場所を訪ねている。そこは養豚場でもレストランでもなく、、出版社であった。

「よく私まで辿り着きましたね」自己紹介より先に彼から言われた言葉だ。彼はかつて、名作の呼び声高い人気漫画「あしたのジョー」を担当していたそうだ。彼の話を聞いた。

ふふふ、豚のみぞおちですよね?あれは私も先生から話を聞くまでは存在すらも知りませんでした。当時「あしたのジョー」の原稿を一番最初に見るのは、担当の私でした。ご存じですかね?ジョーが少年刑務所から脱獄を企て、豚舎から豚を放して逃走しようとしたシーンを。あの時、後のライバルである力石徹が豚とジョーの前に立ちはだかり、豚を次々とパンチで失神させていくんです。そのシーンを見た時に「豚を一発で倒せる程、この力石という男のパンチ力は強いんですね」と先生に言ったら「違うよ。みぞおちを叩いているんだよ」と言われたんです(笑)

その話を雑誌に載せたら勘の良い読書から「あれ豚のみぞおちを叩いていますよね?」という投書が三通あってね(笑)凄いよね。その内の1人は現在それがきっかけで、吉祥寺に日本唯一の豚のみぞおち専門店「ウィークポイントポーク」というレストランをやってるよ。素材が希少過ぎて一日一組しか食べれないみたいだけどね(笑)

その味なんだけどね…いま思い出しても涎が口の中に溢れて、それだけで白ご飯を食べれる程なんだ。ホルモンのような歯応えがあるのに、まるでクリームのように溶けていく、、矛盾するうまさなんだ。あっと、涎が。失礼失礼(笑)

豚のみぞおち、牛のさぶいぼ、ラムのこめかみ、老マグロの曲がり背中、等々、世の中にはまだまだ人に知られていないグルメがある。今後も私はそんなグルメを追い続けていきたい。

豚のみぞおちステーキ

材料(2人分)

豚のみぞおち…2枚

キャベツ…2枚

ミニトマト…4個

塩コショウ…適宣


醤油…大さじ1杯
みりん…大さじ1杯
酒…大さじ1杯

油…大さじ1杯

作り方

1.豚のみぞおちに塩・こしょうする。にんにくはみじん切りにする。

2.フライパンに半量の油を熱し、豚のみぞおち両面をこんがりと焼き、取り出す。

3.フライパンの汚れをふき取り、残りの油を足して、にんにくを炒め、香りが立ったらAを加えて軽く煮詰める。

4.(2)の豚肉を食べやすく切って器に盛り、(3)のソースをかける。キャベツのせん切りとミニトマトを添える。

ポイント・コツ
白ご飯とも相性バッチリです☆少し多目に炊くのが良いかも知れません♪

※本文に出てくる情報や料理は、全部嘘です。

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