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レストランがインターネット通販、取り寄せを成功する方法

先日、上場するレストランチェーンの役員から、今後のそのレストランの方向性についてご相談をうけた。方向性としては店舗網を縮小し、惣菜通販に舵をむけるとのことだった。コロナの弱毒化やワクチン開発の進展などもあるものの、飲食企業は経済の先行きが不透明なこともあり、店舗網を縮小していく方向というのが業界としての流れとのことだった。たしかに、食べログの高評価のレストランやミシュラン掲載店舗などもM&Aサイトなどで売却の流れが出ているようです。

上場しているため、店舗にかわる収益源が求められるということで、通販部門の強化というのが喫緊の課題ということでした。最近、この手の相談をよく受けるので、基本的な指針について、まとめてみました。

余談ですが、経営危機が指摘されている某ステーキチェーンも業績が悪化したタイミングで通販のテコ入れの相談を受けました。飲食チェーンは業績が悪化すると通販に手を出したくなるのでしょうか。


1,導線をどうするか。

導線の考え方は主に以下の2つになります。

a,店頭からチラシなどで送客を行う。

b,インターネットで新規客を開拓するか。

基本的に、店頭だけで送客をするだけなら簡単です。ウェブ制作会社に相見積を行う際に、その旨を伝えればきちんとしたものを提案をしてくれるはずです。

QRコードの提案程度であれば問題ないですが、アプリなどの話が出てきたら注意が必要です。サイトの設計だけなら数百万円で終わる話が、アプリも含めると数千万円の話になります。さらに運用でも数十万という話が出てきます。採算があわなくなるリスクが高いので、アプリは手を出さないほうが無難です。

なお、店頭からのインターネットの送客では、あまり売上は見込めません。私の知っている範囲では、全国規模のレストランチェーンで、大成功しているレベルでも月商300万円程度です。多くの有名店でも月商100万円未満、場合によっては数万円というのが売上のイメージです。

以下、インターネットで新規客を開拓する場合の考え方です。

2,どこで戦うか。

自社サイト、楽天市場、アマゾンの3つが一般的な選択肢です。基本的に、他社で通販サイトを経験していない担当しかいない場合、楽天市場での展開一択というのが定石になります。

その理由は、自社サイトでは運営の相談先がないからです。また、アマゾンはバーコードのない商品を売るのに向いていません。

3,何を売るか。

通販では送料がかかります。そのため、商品をパッケージ化し、まとめ販売をする必要があります。

1個ずつ商品を選んでもらい、買ってもらえばよいという考え方もあると思います。ただ、重要な話ですが、お客様は面倒だとすぐ離れてしまいます。

お客様が商品を選ぶという作業をお客様は嫌がります。その結果、お買い物をやめてしまいます。そのため、お得なパッケージ販売というのが一般的です。

パッケージを作るにあたっては、楽天市場のランキングを参考に商品を作っていくのが手堅いです。

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4,いくらで売るか。

この問題は2つあり、1つは商品価格、もう1つは容量単価です。

商品価格は、日用品なのかギフトなのかによって設定価格が異なります。これは競合調査をすればわかります。

問題は容量単価です。あまり知られていませんが、利用者は容量単価というのを細かく見ています。お肉であれば、国産の和牛の1kgがいくらなのかという比較をされているというのは納得しやすいと思います。しかし、有名美容室のシャンプーでも、カレーでも、柔軟剤でも、全ての商品が容量単価が細かく比較されています。

商品毎にお客様が許容する容量単価というものが存在します。某ステーキチェーンの相談を受け、お肉の相場を調べた際のことですが、そのステークチェーンは楽天市場の売れ筋の相場の3倍の容量単価を設定していました。その結果、店舗から送客をしているにも関わらず、全く売れていませんでした。

同様の話で、有名美容室から通販の相談を受けた際にも楽天ランキングを分析しましたが、当時数ヶ月調査を行いましたが1ml=4.5円を超える商品は売れ筋ランキングトップ200に顔を出しませんでした。なお、当該ランキングでは同日に5つ程度商品が購入されればランクインするレベルですので、ほぼ全く売れていないという状況と推測されます。

想像以上に、お客様は価格に敏感です。たとえば、カレーランキングを見ると、ランキング上位の常連の”築地 わだつみ”さんという店舗があります。

こちらのお店はカレーランキングの中では容量単価が比較的高い部類です。

楽天のカレーランキングでは1ml=3円未満の商品しか基本的に上位では戦えません。※その市場の中で、わだつみさんは1ml=2.6円を設定しています。上位ランキングでは、1ml=2円を切る商品も多い中、だいぶ高額が設定されているといえます。

※テレビ等で紹介された等の特殊要因は除きます。

5,高い値付けを成功させる方法

なぜ、わだつみさんは高い容量単価を設定する事に成功しているか。以下、わだつみさんの商品ページを引用しました。

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ご覧いただくとわかるかと思いますが、お肉がたっぷり入っていることを訴求しています。安い値付けをするにしても、高い値付けをするにしても、理由を明示し、納得していただけないと購入には繋がりません。

特に平均以上の価格設定を行うためには、平均以上のウェブページの作り込みが必要になります。ページの作り込みが出来ないと、平均以上の価格設定はことは出来ないと考えたほうが良いです。


恐らく、多くのレストランで、平均以上の容量単価を設定していると思います。ただ、通販事業は簡単には成功出来ません。松屋やすき家など大手の牛丼チェーンや大阪王将など大手の飲食チェーンが工場の稼働率を維持するために圧倒的な価格競争力で展開しています。

ボリュームが見込めるゾーンでは、本業の価格設定を壊しかねない恐ろしい競争が繰り広げられています。そのため、多くのレストランが目指すべきは月商数百万円、年間3,000~5,000万円程度を目指す、惣菜通販に舵をむけるとのことだった。コロナの弱毒化やワクチン開発の進展などもあるものの、飲食企業は経済の先行きが不透明なこともあり、店舗網を縮小していく方向というのが業界としての流れとのことだった。たしかに、食べログの高評価のレストランやミシュラン掲載店舗などもM&Aサイトなどで売却の流れが出ているようです。


上場しているため、店舗にかわる収益源が求められるということで、通販部門の強化というのが喫緊の課題ということでした。最近、この手の相談をよく受けるので、基本的な指針について、まとめてみました。


余談ですが、経営危機が指摘されている某ステーキチェーンも業績が悪化したタイミングで通販のテコ入れの相談を受けました。飲食チェーンは業績が悪化すると通販に手を出したくなるのでしょうか。




1,導線をどうするか。

導線の考え方は主に以下の2つになります。


a,店頭からチラシなどで送客を行う。


b,インターネットで新規客を開拓するか。


基本的に、店頭だけで送客をするだけなら簡単です。ウェブ制作会社に相見積を行う際に、その旨を伝えればきちんとしたものを提案をしてくれるはずです。


QRコードの提案程度であれば問題ないですが、アプリなどの話が出てきたら注意が必要です。サイトの設計だけなら数百万円で終わる話が、アプリも含めると数千万円の話になります。さらに運用でも数十万という話が出てきます。採算があわなくなるリスクが高いので、アプリは手を出さないほうが無難です。


なお、店頭からのインターネットの送客では、あまり売上は見込めません。私の知っている範囲では、全国規模のレストランチェーンで、大成功しているレベルでも月商300万円程度です。多くの有名店でも月商100万円未満、場合によっては数万円というのが売上のイメージです。


以下、インターネットで新規客を開拓する場合の考え方です。


2,どこで戦うか。

自社サイト、楽天市場、アマゾンの3つが一般的な選択肢です。基本的に、他社で通販サイトを経験していない担当しかいない場合、楽天市場での展開一択というのが定石になります。


その理由は、自社サイトでは運営の相談先がないからです。また、アマゾンはバーコードのない商品を売るのに向いていません。


3,何を売るか。

通販では送料がかかります。そのため、商品をパッケージ化し、まとめ販売をする必要があります。


1個ずつ商品を選んでもらい、買ってもらえばよいという考え方もあると思います。ただ、重要な話ですが、お客様は面倒だとすぐ離れてしまいます。


お客様が商品を選ぶという作業をお客様は嫌がります。その結果、お買い物をやめてしまいます。そのため、お得なパッケージ販売というのが一般的です。


パッケージを作るにあたっては、楽天市場のランキングを参考に商品を作っていくのが手堅いです。





4,いくらで売るか。

この問題は2つあり、1つは商品価格、もう1つは容量単価です。


商品価格は、日用品なのかギフトなのかによって設定価格が異なります。これは競合調査をすればわかります。


問題は容量単価です。あまり知られていませんが、利用者は容量単価というのを細かく見ています。お肉であれば、国産の和牛の1kgがいくらなのかという比較をされているというのは納得しやすいと思います。しかし、有名美容室のシャンプーでも、カレーでも、柔軟剤でも、全ての商品が容量単価が細かく比較されています。


商品毎にお客様が許容する容量単価というものが存在します。某ステーキチェーンの相談を受け、お肉の相場を調べた際のことですが、そのステークチェーンは楽天市場の売れ筋の相場の3倍の容量単価を設定していました。その結果、店舗から送客をしているにも関わらず、全く売れていませんでした。


同様の話で、有名美容室から通販の相談を受けた際にも楽天ランキングを分析しましたが、当時数ヶ月調査を行いましたが1ml=4.5円を超える商品は売れ筋ランキングトップ200に顔を出しませんでした。なお、当該ランキングでは同日に5つ程度商品が購入されればランクインするレベルですので、ほぼ全く売れていないという状況と推測されます。


想像以上に、お客様は価格に敏感です。たとえば、カレーランキングを見ると、ランキング上位の常連の”築地 わだつみ”さんという店舗があります。


こちらのお店はカレーランキングの中では容量単価が比較的高い部類です。


楽天のカレーランキングでは1ml=3円未満の商品しか基本的に上位では戦えません。※その市場の中で、わだつみさんは1ml=2.6円を設定しています。上位ランキングでは、1ml=2円を切る商品も多い中、だいぶ高額が設定されているといえます。


※テレビ等で紹介された等の特殊要因は除きます。


5,高い値付けを成功させる方法

なぜ、わだつみさんは高い容量単価を設定する事に成功しているか。以下、わだつみさんの商品ページを引用しました。



ご覧いただくとわかるかと思いますが、お肉がたっぷり入っていることを訴求しています。安い値付けをするにしても、高い値付けをするにしても、理由を明示し、納得していただけないと購入には繋がりません。


特に平均以上の価格設定を行うためには、平均以上のウェブページの作り込みが必要になります。ページの作り込みが出来ないと、平均以上の価格設定はことは出来ないと考えたほうが良いです。

恐らく、多くのレストランで、平均以上の容量単価を設定していると思います。その場合、どのあたりの売上を見込むべきかと考えると、目指すべきは月商数百万円、年間3,000~5,000万円程度かなと思います。

それ以上になると、日常的に購入いただける商品である必要ですが、そこには松屋やすき家など大手の牛丼チェーンや大阪王将など大手の飲食チェーンがいます。彼らは工場の稼働率を維持するために圧倒的な価格競争力で展開しています。その巨大資本たちが本業の価格設定を壊しかねない恐ろしい競争が繰り広げられています。


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