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そのワイヤーフレームやプロトタイプは何を目的としてつくられているのか?

皆さんはワイヤーフレームやプロトタイプを作成・共有する時に「何を目的として」それを行っていますか?
昔からよく話していることなのですが、ワイヤーフレームで完成形をイメージできるのはワイヤーフレームを作成するプロセスを共有しているか、脳内で補完する能力の高い人だと考えています。そのため、ワイヤーフレームで完成形をイメージしつつレイアウトの確認を依頼することは受け手によっては難易度が高いと考えていました。
そのため、ワイヤーフレームで確認するのは「画面構成要素」「画面遷移」と考えているのですが、「(画面)レイアウト」を確認するツールとして使われているケースも多いのではないでしょうか?
Adobe XDやFigmaといったコラボレーションツールと呼ばれるツールの登場によって、ワイヤーフレームやプロトタイプを作成するハードルが下がっていますが、その反面、そこに至るまでのプロセスが軽視されているようにも思われましたので、あらためて考えてみたいと思います。

この記事は「Adobe XD Advent Calendar 2019」の14日目となります。(期日が過ぎてからの登録ですみません)

ワイヤーフレームにまとめられてしまう「意味」

たまに「制作会社からワイヤーフレームが出てくるのだけど、どのように確認して、どのようにフィードバックしていいか分からない」
という相談をいただくことがあります。
この場合はまず制作会社の担当者が以下の点についてクライアントと合意、または伝えていたかどうかが気になります。

・ワイヤーフレームの目的の説明、合意
・ワイヤーフレームの範囲
・ワイヤーフレーム確認後のプロセス

制作会社の担当者としてはビジュアルデザインを行う前の「設計」として当然のようにワイヤーフレームを作成し、それをクライアントに共有・確認するケースが多いかもしれません。
ただ、そのワイヤーフレームを作成する以前の文脈をきちんと理解せずにワイヤーフレームにまとめてしまうことで、それまでに話されてきた意味がまとめられてしまい、そのプロジェクトを進める上で大切にする必要があったことが失われてしまうこともあります。
それだけワイヤーフレームが持つ「可視化」の力は強力なので、その力を使う時は「目的」の共有と合意が大切です。
そのためにも、ワイヤーフレームを確認し、フィードバックとして何を得ることでその次の工程にどのように活かされるのか、について制作者は発注者に対してきちんと説明する必要があります。

目的によって変わるアウトプットとプロセス

ワイヤーフレームをつくることに長けたツールはたくさんありますが、そもそも目的によってはそういったデジタルツールではなく、紙と付箋でつくった方がいい場合もあります。
例えば、企画段階で利用者のユーザーシナリオの検討や利用シーンのロールプレイを行うことが目的であれば、ペーパープロトタイピング的にミーティングの場で、画面ごとに必要な要素を紙や付箋に書き込み、それを移し替えたり並び変えたりした方が短時間で理解が進むケースもあります。
またはホワイトボードを使ってもいいでしょう。

Adobe XDやFigmaをミーティングの参加者全員に共有できるのなら、デジタルツールを使ってもよいのですが、当然のようにデジタルツールを用いるのではなく、目的によってアウトプットとプロセスを柔軟に選択できた方が結果的に目的達成することにつながります。

ワイヤーフレームもプロトタイプも最終成果物ではない

いろんなプロジェクトでたまに見受けられるのが、ワイヤーフレームやプロトタイプを「作り込み過ぎている」ケースです。
もちろんどちらもその目的を達成するためのクオリティは求められるわけですが、どんなに作り込んだとしても、それは最終成果物ではないことを念頭に入れておく必要があります。
時間をかけてワイヤーフレームをつくるよりも、プロトタイプをつくってしまった方が早いかもしれません。
プロトタイプのビジュアルやインタラクションを作り込んだとしても、それを実装する際にはまた別のプロセスが必要となりますので、その後のプロセスを踏まえてどこまで作り込むのかを検討することで余計な工数を抑えることもできるでしょう。
(ここで言う工数は制作側だけではなく、発注側の確認も含みます)
ワイヤーフレームやプロトタイプはその目的を達成するためにつくるものですので、それ以上に作り込む必要はありませんし、必要以上に時間をかけるものでもありません。

Adobe XDはコラボレーションが本質(と考えています)

Adobe XDはワイヤーフレーム、プロトタイプ、デザインと様々な用途で用いられるようになってきましたが、私は異なる領域の人たちをつなぐコラボレーションが本質と考えています。
いままで分断されていた領域をつなぎ、専門職に任せていた工程に踏み込み、領域を越えていくことができる、ワークフローを変えることができる、その点が私がXDに興味を持ったポイントでした。
それは発注者が制作者と一緒に考えていく、営業がクリエイティブと一緒につくっていく、そういったことを実現することができるきっかけになり得るツールです。

コーヒーを飲みながら書いていることが多いので、サポートいただけたらコーヒー代として使わせていただきます!