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【かつらのお話:羽二重の染め】


力金、橋金、留め金を取り付けた鉢金は次に下貼りをします。

こんにちは。京都時代劇かつらです。

今回は、下貼りの羽二重のお話。

下貼りの羽二重は三ツ襟と同じように貼っていくのですが、今度は刳(くり)の網が着くので和紙だけでなく羽二重も貼ります。

羽二重を貼った女形鉢金

羽二重は着物の胴裏に使われる正絹の白生地です。
羽二重にも厚さが色々ありますので重すぎず軽すぎずのものを選びます。その羽二重をほんのり肌色に染めて地金に下貼りします。

羽二重の染めはまず鍋に沸かした湯に染め粉を溶きます。そこにさっと羽二重を入れムラ染めにならないように金箸で生地をゆらしながら染めていきます。
所謂、炊き染めです。

よい頃合いになったら、色止めして流水で濯いだら染めは出来上がりになります。

色止めを入れると入れる前より濃く染料が生地に入るので、頃合いを見逃さないように気をつけます。

羽二重が乾いたら下貼り用の羽二重染めは完成です。

薄く色がかかっている箇所が羽二重

羽二重は使う用途により、肌色、薄墨色、灰桜、黒、茶色と様々な色に染めていきます。

鍛金職人の様に金属板から地金を叩き出したかと思えば、染め職人の様に生地を染める。

こうしてみると、鬘作りは色々な手仕事の寄せ集めの様な気がします。

鉢金の下貼りが完成した

次回は【刳】のお話。

どうぞお楽しみに。

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