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衝撃『ボイリング・ポイント/沸騰』この映画、なんと上映時間90分のすべてが...

閲覧ありがとうございます。
さて早速ですが、映画『ボイリング・ポイント/沸騰』という大傑作映画の紹介をしたいと思います。
なるべくネタバレは避けるつもりです。

・この映画のどの部分が他の映画を圧倒し、凌駕するのか


手っ取り早く答えを述べます。

この映画、上映時間約90分すべてが長回し(ワンカット)で撮影されているんです。

聞き馴染みのないかたへ向けて、長回しとは何か、を説明します。

通常、映画では幾つものカットを重ねて、物語や時間の経過、アクションの派手さなどなどを伝えています。
シーンごとに細かくカメラを回したり止めたりして、それら映像群を繋ぎ合わせて映画は作られています。
転じて長回しという撮影技法は、長時間カメラを回したままで撮影します。
カットが長ければ長いほど、役者の技量や撮影班の技量が試される。大道具の爆発などミスが許されない構成になっている場合、さらにプレッシャーがかかる。
そのため最も複雑で難しく、作り上げた時の見返りも大きいダイナミックな撮影と言われています。

基本的に他の映画での長回しは1分から長くても10分ほどになると思います。いやもう10分の長回しなんてあったら長回しマニアの私としてはもう大興奮です。それだけでその映画を絶賛してしまうかも。

『ボイリング・ポイント/沸騰』は上映時間が約90分。
その90分すべてが、一切カットもなく、一発で撮られています。

もし80分すぎたあたりでセリフが飛んだり、カメラマンがルートを間違えたり、不意にセットが壊れたりしたら…最初から撮り直し。
この映画は偉業を成し遂げました。

そしてこの映画のさらに凄いのが、脚本や構図に音響なども優れているところです。
そもそも総合芸術(すなわち映画)として優れているのです。

長回しは表現に対して厳しい制約を課します。
時間が連続するため舞台転換ができず、作中の日数の経過も不可能。物語の中で経過した時間がそのまま上映時間となります。
そうなるとワンシチュエーション的な脚本にしかできません。
固定カメラを使ってバシッとキマッた構図に持っていくこともできない。
他にも色々あると思いますが、かなりの縛りプレイで映画を作る必要があります。
しかし『ボイリング・ポイント/沸騰』はその厳しい制約のなかで完璧に近い物を提供してきました。

いやとにかく観てほしい。私はアマゾンプライムビデオのレンタル視聴(500円)で観ました。お手軽に観れますので是非どうぞ。
そして今更過ぎて申し訳ないのですがあらすじを下記に記します。
ちなみにあらすじの後にもちょっと続きます。そちらもなかなか面白い内容になると思いますので是非読んでね。

『一年で最も賑わうクリスマス前の金曜日、ロンドンの人気高級レストラン。その日、オーナーシェフのアンディは妻子と別居し疲れきっていた。運悪く衛生管理検査があり評価を下げられ、次々とトラブルに見舞われるアンディ。気を取り直して開店するが、予約過多でスタッフたちは一触即発状態。そんな中、アンディのライバルシェフが有名なグルメ評論家を連れてサプライズ来店する。さらに、脅迫まがいの取引を持ちかけてきて…。』


余談:実は全編長回しで撮影された映画はそこそこあります。

(でもボイリングポイントはそのなかでも凄いほうだと思うよ)

めちゃくちゃこの映画を持ち上げちゃいましたが、実は全編長回し映画って結構あります。私も全部観きれてないです多分。
古くは巨匠ヒッチコック監督の『ロープ』など。近年ではサム・メンデス監督の『1917』も全編長回しとメディアは喧伝しています。
「メディアは喧伝しています」なんてちょっと引っ掛かる言い方をしてしまいましたが、それには理由があります。それはですね。

『全編長回し』という宣伝の多くはウソだからです。


そうなんです。

上記の『ロープ』も『1917』も実は全編長回しではないんです。
そして長回しマニアは
その大嘘に怒ってはいないというか、けっこう面白がってるんです。

実際『ロープ』も『1917』も全編長回しにしか見えないんですけど、実は違います。
何回かカメラを止めてます。カットをはさんでます。
やりかたがあります。
例えば画面すべてを真っ白な壁でいっぱいにしたり。人物の後ろをカメラが横切って画面すべてで背中を映したり。
そうやって全く特徴のない画面にした瞬間に一回カメラを止めて、そこからまた撮影を開始します。
そうやって一見長回しにしか見えないようにして、『全編長回し映画』という大噓つきが作られます。いやこれでもめちゃくちゃ大変で、凄いことやってるんですけどね。

でもちょっとガッカリしちゃいませんか?

いいえ、長回しマニアはそこまでガッカリしません!むしろそのカットとカットのスキマ(編集点)を探すのがすっごい楽しいです!

アクション中に主人公がカメラに向かって吹っ飛んできて激突。
真っ暗な部屋に入って一瞬画面が暗闇に。
「あ…こいつ""やったな""」となります。制作側が工夫して作り出した編集点を暴き出す。凄く楽しい!

参考に、下のキングスマン教会戦闘シーンも長回しっぽく撮られていますが、何個か編集点があります。0:26から探してみてください。
そして『キングスマン』という素晴らしい映画を観てください。ボイリングポイントのあとにでも。(動画のあとも、もうちょっとだけお話しするよ)

さて、じゃあ『ボイリング・ポイント/沸騰』も結構編集点があるんじゃないの~??って思いますよね。
えぇ、私も注意深く観察して数えてみました。



……

…もしかしたら『ボイリング・ポイント/沸騰』には編集点がないかもしれない。

驚愕です。凄すぎないか、この映画。
いや、実際のところ怪しい部分は3回ほどあった。でも確証がない。言い切る自信が持てない。それくらい自然に撮ってる。
みなさんもその目で観て確認してほしい。もし分かったことがあったらコメントとかリプライで教えてね。

さて、だいぶ長いこと喋りましたが、そろそろ終わります。
とにかく『ボイリング・ポイント/沸騰』ぜひ観てください!
そして今まで長回しに関心のなかったかたも、これからは注目して観てみてください。いまよりもさらに映画が面白く観れると思います。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。感謝です。ビッグラブ。
この記事で間違ってる部分があったら教えてくださいね。

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