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春雷を聴きながら。【#73】

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きのう物語は、昨日撮った写真一枚と、その日記です。

朝から部屋に引きこもって、写真を編集する。編集には時間がかかるし、溜まってしまうと、混沌の世界が待っている。混沌とは、写真の整理が追いつかず、どうしようもなくなってしまう世界だ。だからYoutube界隈のように、動画の編集だけを専門とする人がいることも、納得できる。しかし、デジタル写真は編集が自分の手から離れてしまうと、自分の写真とも呼べないだろうし、まずは自分で向き合うしかない。だから撮影から現像まで、向き合う時間はかなり長い。

外は大雨、時折目の前が轟音と共に光る。春雷はスピーカーから流れるBGMのように聴こえる。(編集作業を)急げ、急がねばならんぞ、ゴロゴロピッカー!と。ただ、久しぶりの雷も悪くないなぁ。生暖かな風が吹き荒れ、強い雨が横なぐりに音を立てて降り頻る。今日のような季節の変わり目こそ、わたしにとっては、好きな季節だ。空や空気が変わりはじめる季節。されど、わたしたちの心にはあまり響かない季節。ほんとうは今日こそ、季節にとって大事な日なのだと。だから春雷も大袈裟にいえば、祝砲に聴こえた。

結局、作業は終わらなかった。悔しい。それでも夕刻なので、スーパーに食材を買いに行く。外はまだ小雨だったけれど、西側は真っ赤な夕焼けに染まった。大気中の塵が雨に流されて、澄んでいる証拠だ。その反対側を見ると、虹がかかっている。あぁ、高台に行こう!傘をたたんでダッシュする。「この人は虹を撮るために、走っているわ」という視線をたくさん浴びたが、その通りだし、だから一緒に行こうよ!という気持ちになる。子どものとき、虹を見たら「虹だ!」って指を差したでしょう。わたしも見えやすいところで、ただ、虹を見たいだけなのだ。

高台に着いた頃、虹はさっきより消えていた。ちょっとだけ口はへの字。でも、この息切れも、嫌いじゃない。

スーパーを出る頃には、空は真っ暗だった。

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ポカリスエットを買います。銭湯に入ります。元気になって、写真を撮ります。たくさん汗をかいて、ほっと笑顔になれる経験をみなさんと共有したいと思います。