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あなたのふるさとを巡る旅。|vol.2(岡山県笠岡市、真鍋島。)

前回、富山県黒部市の旧市役所が解体されることから、写真を撮りに行って欲しいというお話をいただきました。そして今回は、島を巡るお話。

「あなたのふるさとを巡る旅。」
タイトルを名付けて、第2回としましょう。

舞台は岡山県笠岡市、真鍋島(まなべしま)

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広島県と県境を接する岡山県西部の笠岡市には、笠岡諸島と呼ばれる島々があります。北木島をさらに南東に進んだ先に浮かぶ小さな島が、真鍋島。いまの人口は、180人ほどです。やはり少なくなってしまったそう。

ご依頼してくださった方は、20代の女性の方でした。この島で生まれ育ち、いまは県外でお仕事をされていらっしゃいますが、島のことは大好きだと。そして島の写真を撮って欲しいと連絡してくださったのでした。そう、笠岡諸島へ行くのははじめて。

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船に乗る。検温の機械にみなさんが並んで、順にクリアして行きます。僕は一度、検温の機械で37.8℃出たことがあります。ビビりました。でも今日は大丈夫。

いくつかの島を経由しながら、1時間ほど瀬戸内海の穏やかな海を進む。

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写真は真鍋島のひとつ手前、北木島。千鳥・大吾さんのふるさとじゃけど、今日は関係ねぇんよ。

岡山弁ってもっと汚いんですけど、大吾さんは優しい岡山弁じゃと、わしゃ思う。

そして、真鍋島へやってきました。

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島の集落は主に2つ。それでもコンパクトで、歩いて散策できる広さです。ご依頼してくださった方からは、

・小中学校
・八幡神社
・お父さんのカブ

を撮って欲しいとお話をいただきました。ご依頼者さんも島に帰ってきてくださったのですが、午前中はひとりで巡ります。

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到着後、さっそく島のおじいちゃん。
「今から、選挙に行くんじゃ。」

おはようございます。

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地図をいただいて、それでは、出発しましょう。

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朝の光を浴びる路地と木々が美しい。気づいたのですが、真鍋島の集落は北側に密集していて、日当たりが北向きでした。あとで尋ねると、朝は明るくなるのが遅いそう。日当たりが北向きの島、ちょっと珍しいです。

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上から眺めると、瀬戸内らしさを感じます。

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そして真鍋小学校・中学校へやってきました。
一番左の校舎が小学校、右が中学校。

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中学校は木造校舎で、映画のロケ地にもなったことがある、歴史深い校舎。

そんなことより
「…(学校の敷地に入ってもいいのかな)」

と思ったあなた、わしもそう思うたんよ。

ご依頼者さんからのメールはこちら。

平日の授業が行われている時間帯にも観光客に開放しており、学生の頃はよく廊下に観光客の方がいらっしゃいました。
(*現在は新型コロナウイルスの影響で平日は開放していないとのことです。)

かつては平日も校舎を開放していて、観光客の方が廊下を歩いていたそう。自由な風土だなぁ。素晴らしいですよね。
今回は休日でしたので、校舎内には入れませんが少し散策させていただきました。

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中学校の校舎はこのように、懐かしい時間がいまも流れています。入り口の窓越しに撮りました。横には訪問記念スタンプも置かれています。

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大きな樹が時代を知るように、この木の温もりは、島の宝物であることにかわりません。

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校舎の上には眺望台があります。校舎とまちなみと海。美しい。

そして学校とはお別れ。

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次にやってきたのは「八幡神社」です。

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5月にこの神社で行われる祭りが島民の誇りなのです。島のおばあさんも、この八幡神社へ続く階段は上れるように元気でありたいと。

ご依頼者さんも幼少の頃からずっと大好きなお祭りが、八幡神社を舞台に開催されます。

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3体の神輿が島の通りを猛烈な勢いで駆け抜けます。八幡神社から下りた御輿が、前の浜で飾り立てた漁船に乗せられ、海を渡って本浦地区に上陸します。その後、島の通りを駆け抜けるところが最大の見せ場であり、盛り上がりをみせます。

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境内には毎年の祭りの参加者の写真が飾られています。令和元年もありました。今年は中止になってしまいましたが、島においては一番大事な日。島を離れている出身者も、この日には出来るだけ帰ってくる。それは島の伝統であり、誇りだから。

そんな話を伺いながら、清々しい境内で深呼吸をした。

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島の方々は猫のことをどう思っていますか?

事前に尋ねました。真鍋島は猫がたくさんいる、というイメージが強くて、島の方々はそれをどのように思っているのか、知った上で訪れたいと思い。

島民は猫に対して完全に肯定的ではありません。観光客によるエサの放置やフンの目立ち等もあり、やや厄介な問題です。観光客がきてくれるのはうれしい反面、喜びにくさもあり、複雑な心持ちのようです。

なるほど、なるほど。

ですが島民は猫自体を心から毛嫌いしているわけではなく、以前と変わらず「無関心」という立ち位置のように思います。

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実際に訪れてみて、猫が多すぎる、とは感じませんでした。きっと猫の数にも波があるのでしょう。

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実際、「無関心」という話でしたが、とあるおじいちゃんは「猫が懐かんのんじゃ!」と憤っていました。笑

一緒に共生してくださいね。

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お昼には「モトエカフェ」さんでカレーをいただきました。スパイスのコクが堪りません。

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島のつながり。

ご依頼者さんにちょっかいを出すために、島の兄貴2人がカフェにやってきました。漁師の2人、かっこいい。

「誰を連れてきたんじゃ〜!」

ご依頼者さんが島に帰って来ることを知っていた兄貴たち。そして「女友達を連れて来るのでは」と期待していた兄貴たちは僕が男だったので、がっかり。
すいやせん、兄貴。

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ご依頼者さんと右の兄貴は幼馴染。小さな頃からずっと一緒に遊んで育ってきた関係。カフェではヤンヤン言い合ってましたが、いつも連絡を取っているみたいで、いい関係だなぁと。島のつながりって、ほんといいですよね。

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今度はそんな兄貴のお父さんがやって来て、さらっと僕らの食事をぜんぶ奢ってくれた。かっこいいお父さん、惚れてしまいます。

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カフェのお二人は真鍋島へ移住して10年を超えるとっても温かなご夫婦。ご出身は神戸とのことですが、ぼっけぇ岡山弁喋るけんほんまに神戸から来たんかな思うたわ。(岡山弁、完璧でした。)

お二人とたくさんお話しさせていただいて幸せでした。旅先で出会う人とのご縁は、本当にありがたいですし、心に残ります。貴重なお時間をありがとうございます。

あと少し、島を散策しましょう。

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伝統ある建物。

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立派なホルトの樹。

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青空とバスケットゴール。

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ご依頼者さんのお父さんのカブ。水色で可愛いですよね。

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島のおっちゃんと、雑談の時間。島では必須時間みたいなものです。

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台風に備えて護岸工事された箇所が増えたそうですが、そうして島も守られています。

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静かな港に、船がやってきました。ありがとう真鍋島。

帰りの船は、夕焼けの頃。

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船内と波のしぶき。

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夕日と船。

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そして日が沈む。

人口180人の島も、誰かのふるさとだ。誰かの子が新しく生まれ、誰かの子が島を離れ、誰かの子が島を担い、真鍋島という系譜が流れ、気づけば今年ももうすぐ終わるらしい。ただ、島と繋がるすべての人々にとって、ここには「真鍋島」がある。

ご依頼者さんのふるさとへお伺いさせていただく機会をいただいて、つくづく幸せ者だ。

僕もまた、ここへ帰りたい。

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お写真のご依頼は、
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ポカリスエットを買います。銭湯に入ります。元気になって、写真を撮ります。たくさん汗をかいて、ほっと笑顔になれる経験をみなさんと共有したいと思います。