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お師匠さんとの特訓。【#86】

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きのう物語は、昨日撮った写真一枚と、その日記です。

写真のお師匠さんがいる。わたしからそう呼んでいるだけで、お師匠さんはわたしを「かつお先生」といじってくるので、そういう関係性だ。

元来、独立している写真家やフォトグラファーは、誰かに師事したり、スタジオ勤務をしたり、アシスタントを経験することが多い。経歴としても紹介される。若いフォトグラファーも軒並みそうだ。しかし、わたしはその段階を踏んでいない。徒手空拳で飛び出して、猪のように木にぶつかりながら、直進しているタイプだ。一長一短だけど、やはりどうしても、撮影の知識が足りないときがある。そういうとき、よく連絡するのが、お師匠さんだ。お師匠さんとは、偶然長野県のキャンプ場で出会った。キャンプが好きな人だと思っていたら、フォトグラファーだった。すなわち本職を隠して、好きなことをやっている人だった。東京でのフォトグラファー歴は20年を越えていて、写真から動画まで、ひととおりの撮影をこなす、どんな撮影もできる人だ。キャンプ場ではその様子をまるで見せておらず、地元のもつ焼きパーティーを一緒にしたり、黙々と薪を割って、スウェーデントーチを作っていたり、明るくて気さくで自由な方だった。

上京するときにお会いして、不安だったわたしに「何でも聞け!」と声をかけてくださった。お師匠さんも若いころ、アシスタント時代を経験しているので、普通であれば、同じように(アシスタントを)経験しろ、と伝えられてもおかしくないのだが、お師匠さんはわたしに、アシスタント時代に学ぶようなことを、教えてくださるのだ。普通は教えてくれない。なぜなら、厳密には師弟関係ではないのだから。厳しい世界、甘くない世界なのだから、まずは自分で修行しろ、というのがあたりまえなのだから。でも、「お前はひとまずフリーでやってみろ。分からないことは、俺が教えるから」と言ってくださって、実際に何度もお世話になっている。本当に神様のような方である。いつもそう思う。だから、お師匠さんである。

お師匠さんが使っているスタジオで、ブツ撮りの特訓をつけてもらった。ブツ撮りがメインのお仕事ではないけれど、モノを撮る必要があって、お師匠さんにも相談した。そして翌日に特訓をすることになった。「(クライアントさんを)ギャフンと言わせよう!」という号令の下、座学からはじまって、実践から解説まで、5時間オーバーのマンツーマン授業をしてもらった。こうやって撮れ、と教えてもらうのではなくて、なぜこうなるのか、道理を理解して頭を使え、という本質的な部分を、丁寧に教えてもらった。本当にありがたかった。

しかも、お昼ご飯と夜ご飯はお師匠さんにご馳走になった。というより、本当に何度もご馳走になっていて、全く頭が上がらない。ご馳走になったお金は「後輩や好きな子に使え」と言って取り合ってくれない。だから、後輩や好きな人と食事に行くときには「お師匠さんからのお金だから」と言って、いつも美味しい食事をご馳走したい。そのために働きたい、お金を稼ぎたい。

写真は春の陽気、多摩川堤通りにて。

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ポカリスエットを買います。銭湯に入ります。元気になって、写真を撮ります。たくさん汗をかいて、ほっと笑顔になれる経験をみなさんと共有したいと思います。