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前のめりになりすぎず。【#97】

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きのう物語は、昨日撮った写真一枚と、その日記です。

始発のひたちに乗って、福島へ向かう。浜通りはずいぶん寒い予報だから、と重ね着をしたが、やはり冷たく鋭い風が、ここは東北であることを教えてくれた。すでに散ってしまった桜はビュー、ビュー、冬を迎えるイチョウのように揺れる。

何人かの方にお会いして、震災のことや、さまざまなお話を伺った。ある方は「今後どのような日々にしたいか」という趣旨の問いに、「この先のことはね、どうなるか分からないです。分からない、それが一番しっくりきます。」その上で、「人は前に進むけれど、前のめりになりすぎなくていい。分からないのだから。それより遅すぎず、早すぎず、きちんと足を踏み出すこと。」と。その通りだなぁ。前後の文脈なく、こうして書いているけれど、言葉は、語る人によって力が変わる。この方から発せられる言葉は、生き生きとした言霊だった。

写真は国道6号線。大熊町の帰還困難区域にある、バリケード越しの一本道が、ずっと気になっていた。普通の道だが、良い一本道だ。いままで何度か通過していたが、一瞬で通り過ぎるため、ぼーっとしている間に撮り損ねていたのだった。だが、今日の帰り道は「もうすぐ一本道を通るぞ」と気づいたので、車の助手席から、ほんの少しだけ、前のめりの気持ちで、写真を撮った。

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ポカリスエットを買います。銭湯に入ります。元気になって、写真を撮ります。たくさん汗をかいて、ほっと笑顔になれる経験をみなさんと共有したいと思います。