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4年間過ごした日々。【#78】

きのう物語は、昨日撮った写真一枚と、その日記です。

なかなか遠出のできない、最後の学生生活。それでも日々は過ぎてゆき、まもなく卒業を迎える。卒業後は、地元の鹿児島で就職する。そうなれば、いま住んでいる街とは、ずいぶん長いお別れになるだろう。街も、大学も、バイト先も、通った路線も、よく訪れたお店も、もう、簡単には帰って来れない。最後にお別れを告げる前に、一緒に巡りながら、写真に残してほしい。というお話をいただいた。

ぜひ、やりましょう。プランを練って、迎えた今日は快晴だ。

彼の住んでいた吉祥寺から、ひとつひとつを確かめるように、1日かけて、たくさんの場所を巡った。吉祥寺という街を選んだのも、急に上京が決まって、ドタバタで決まったらしい。偶然にしては羨ましいようで、そうやって愛着は生まれていく。駅へ向かう道中も「ここには、このお店があって、ここには…」と、街の雰囲気が体に染みついていた。穏やかな井の頭公園も、各駅停車の総武線も、急行の井の頭線も、いつも通りの日々を確かめるように、なぞるように、一緒に巡った。

写真1枚では到底収まりきらない日々。断片的ではなく、1日かけて巡らせてもらったからこそ、あたりまえの光景ひとつひとつが、心に響いた。変わらない日常と、それを紡いできた、4年間の学生生活。あたりまえの日々も、いつかは必ず変化を迎える。そして、また次がはじまる。それが人生だ。最後の訪問先として、彼がアルバイトで働いていた居酒屋で、一緒に晩ご飯をいただいた。店長が声を掛ける。「今週の土曜日、シフト入れよ!」「いやいや、無理ですって!」「もう卒業か」「お世話になりました」「しっかり、向こうでも頑張れよ」「はい、頑張ります」

あたらしい日々が、鹿児島ではじまる。卒業おめでとう。仕上がったら、写真を送るね。思い残すことなく、ぜひ最後の日々を過ごして。

ポカリスエットを買います。銭湯に入ります。元気になって、写真を撮ります。たくさん汗をかいて、ほっと笑顔になれる経験をみなさんと共有したいと思います。