やっぱりちょっと不機嫌

朝の通勤時間は戦争だ。

よく耳にする言葉である。


朝の満員電車は確かに人が凄い。もう既に人がこんなに乗っているのに自分は乗れるのだろうか?なんて事を考える暇もなく同じ列に並んでる人達が次々とその電車の中にタックルしていく。

そしてその"おしくらまんじゅう製造機"の中にいるのにも関わらず本を広げ、スマホを操作し自らこの過酷な状況を更に過酷にしている。

低身長の僕には更に息遣いの荒いおじさんの鼻息が後頭部に降り注ぐと言うオプション付きだ。これが美しい綺麗なお姉さんの鼻息だったらまた違っていただろう。将来"おじさん"になる事が確定している僕は大きなため息をつく。


なんて生活を毎日している、訳ではない。
僕は東京の都心に住んでおり会社は東京の西の方に位置しているため、幸運な事に行きも帰りも満員電車と逆なのだ。

この幸運は高校、大学の時も同じで部活帰り他の人達が通勤快速に乗り遅れまいと身体中に塗りたくったシーブリーズの意味もないくらい汗をかきながら急いで着替えて帰り支度をし走りながら帰って行くなか、唯一1人だけいる同じ都心部に帰って行く電車の仲間と一緒に毎日ゆっくり帰り支度をしていた。

そんな幸運な、行きも帰りも座れる状況が社会人になった今でも続いているのだが、これはこれでまた戦争なのである。参加者はおそらく僕ひとり。


僕はルーティンのように毎朝起きてから電車に乗って会社に着くまでの流れが自分の中で決まっている。これが少し変わると不機嫌まではならないが「なんだよ。。」と言う気持ちになる。このルーティンが1番崩れやすいのが朝の通勤電車だ。

僕が狙う電車は会社の最寄り駅まで乗り換えなしで着く快速電車だ。まずは列の先頭に並ばなければいけない。これは使命なのだ。その為に電車到着時刻の15分前には駅に着き僕が乗る予定の1本前の準快速電車を見送り列の先頭に躍り出る。立ち位置は右側。ここまでは問題ない。ここで問題が発生した事はほぼないだろう。

そして本を読みながら電車が来るのを待つ。

電車が来る。

問題はここからなのだ。


僕が電車に乗っていつも座る席。
僕はいつも開く扉から入って右奥の端の席に座る。ここの席に座る事が僕のルーティンなのだ。

いつもは列の先頭の右側に立って電車を待っているのでなんの問題もない。しかし、この世には僕より前の駅でその席に座ってしまう"僕のルーティンを全く知らない悪気もない人"と言うのが存在するのだ。 

また、左側に並んでいて開く扉から入って左側の席が空いているにも関わらず右側の席に座ろうとする"ちょっと前通りますね人間"

はたまた、僕が並んでいる扉の隣の列に並んでいたのに自分の入った扉の4端が全て座られているが為に、猛スピードでこちらの端っこを狙ってくる"端っこ信者"

これらの人々が僕のルーティンを崩してくるのだ。

逆方向の満員電車に毎日乗っている人達からしたらこんな話をして怒られるかもしれない。がしかし、これは自分にとって大事なルーティンなのだ。

このルーティンを守るべく、僕は今日も気合を入れて列に並ぶ。

そんな文章を考えていたら、今日はいつもの席が空いていない。。。

。。。

あぶないあぶない

"ちょっと前通りますね人間"または"端っこ信者"に自分がなってしまう所だった。

なんだよ。。と思いながら僕は席の真ん中に座って本を読み始めた。




Katsu