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#日本酒の新サービスブランドを発表するまで - 世界一律の商品価格

日本酒の新サービスを開始するにあたり、1つの仮説を立てました。それは「世界一律の商品価格にすること」です。

なぜか?
2つの理由からです。

世界一律の商品価格を目指した理由

売る側の理由として、国ごとに販売価格を変更することはとても手間です。販売数量に合わせた値引き、販売する国までの配送料金や税金を、毎回、販売ごとに算出するのはとても大変です。

「手間=経費」です。経費は購入者に負担をかけてしまいます。また国ごとに商品価格を変えることは輸出入商品ではよくあるので、理解できる範疇であれば問題ないのですが、理解を超える商品価格の差になるとトラブルを起こしかねません。インターネットや SNSを使って日本や現地の価格を知ることができるため、隠そうと思っても無理です。

また、買う側の理由として、販売者の利益率を探り、目の前に提示された価格が適正価格なのかどうかを疑ってしまうからです。日本ではなかなか見られないことですが、例えば、イギリス・ロンドンでは、道をはさんだ百貨店Aと百貨店Bでは同じ輸入商品を販売していて、百貨店Aでは2500円と百貨店Bでは3500円という価格差がありました。

販売価格は販売者が決める項目です。百貨店Aが設定した価格の理由、百貨店Bが設定した価格の理由を購入者が理解し納得していれば、商品だけでなくその場で購入する価値について理解していれば、価値のトレードが生まれます。しかし、その「理解」「納得」が十分に浸透していなければ「価格の差」は購入意欲を妨げるボトルネックなる可能性があります。

日本酒はこの「価格の差」を浸透できるだけの費用と時間を準備できるのかを考え、難しいと判断しました。

購入者が負担する経費の内訳

世界一律の商品価格は、最終購入者の購入経費を一緒にすることではありません。理屈に沿って価格の内訳を提示して、最終購入経費の一部を世界一律にします。そのため、まず、購入経費の内訳をブレイクダウンし、「変動してはいけない経費」と「変動すべき経費」にグループ分けすることから始めました。

変動してはいけない経費」は、商品価格そのものです。商品価格は、購入する人によって変動しない価格です。誰がどこで購入しようが変更しない価格です。国内であっても海外であっても変動しない価格です。

変動すべき経費」は、購入する商品の数量によって、配送する住所によって、配送する国の制度によって変動する経費です。具体的な項目をあげると、工場からの輸送、梱包、輸出書類作成、輸出手続き、国際運搬、輸入手続き、現地配送、諸税などです。

売上をあげるために必要なマーケティング経費

続いて検討すべきは、上記に含まれてないマーケティング経費、つまり売上を上げるために必要な施策の経費です。考えらえれる経費を棚卸ししていきました。

「知ってもらう / 好きになってもらうPR経費」
「営業支援経費」
「成約経費」
「決済経費」
「配送支援経費」
など。売るために必要な経費をまとめました。

これらの経費はどこからか降ってくるものでもありません。ひょっとすると補助金などで支援があるかもしれませんが、補助事業は一時的な支援です。自走を考えたとき、1つの商品を販売するために必要な経費を把握し、どれだけの売上、どれだけの利益を生み出すには、いくらの経費が必要なのかを出し切りました。

経費は固定は変動か

交渉をなるべく避けたい。ルールに基づいて経費は確定したい。交渉することで学ぶことはたくさんあると思いますが、経費をかけない、自動化を目指すには、経費は固定するか、ルールに基づいた変動が必要です。また安心して信頼してもらう変動には基本となる数字が公開されていることが大切です。

そこで、1回◯◯円といった固定経費と、割引なども想定した公開されている商品価格を基準にした変動経費を設定しました。特に成約経費は販売パートナー自身がルールに基づいた結果を確認できるようにすることで、長期的な信頼のあるリレーションシップが作れていけると考えました。

マーケティング経費はどこに設置する?

価格設定にはいろいろは考え方があると思いますが、a) 基準となる価格は公開されていること、b) 自走を目指したマーケティング予算を確保すること、などから可能な限り「商品価格」に含めることにしました。

マーケティング戦略で「割引」などを行う場合は、割引をおこなった最終決済価格が基準となって報酬などを算出します。

購入者が購入に必要な経費を3つにする

上記の経費を3つに分けました。
a) 商品価格
b) 配送料一式
c) 諸税

aの商品価格は、世界一律です。この商品価格の中に、「商品代」「知ってもらう / 好きになってもらうPR経費」「営業支援経費」「成約経費」「決済経費」「配送支援経費」が含まれます。変動経費は最終商品価格が基準となって算出されます。

bの配送料一式は、工場からの輸送、梱包、輸出書類作成、輸出手続き、国際運搬、輸入手続き、現地配送です。購入する商品の総重量や配送先の住所によって変動します。

cの諸税は、配送る商品の内容によって、配送する国の制度によって変動します。

この「a+b+c」の合計が購入者が商品購入に必要な総経費になります。この総経費をウェブサイト上でわかるように設計して、実装をすすめることにしました。

世界市場で戦うための価格体系

これから世界市場を狙うとき、一定のルールに基づいた価格体系が必要です。上記はその1例です。昨年度、鹿児島県酒造組様の教育コンテンツおよび越境ECサイトを構築の支援をさせていただきました。教育コンテンツの料金設計ではまさに世界で戦うことを想定した価格体系で販売価格を設定しました。

この料金体系ついては、醸界タイムスが1ページにわたる事業紹介の中でご紹介いただいています。

醸界タイムス2022.0325

次回は「販売価格の為替」についてまとめたいと思います。