ホツマツタヱに記される古代東北地方「ヒタカミ」とは?(その四)
前回の記事では、、、
・伊勢神宮にお祀りされている豊受大神(とようけのおおかみ)について意外と詳しいことが分かっていないこと。
・ホツマツタヱではトヨケカミと呼ばれ、イサナミ(伊弉冉尊・いざなみのみこと)の父であり、アマテルカミ(天照大御神)の祖父だったということ。
・アマテルカミ(天照大御神)が皆から讃えられるアマカミ(指導者)となったのはトヨケカミの影響を大きく受けていること。
などについて書いていきました。
今回の記事では前回の内容を踏まえて、
「アマテルカミ(天照大御神)の誕生がホツマツタヱではどのように記されているのか?」
ということを詳しく書いていきますね。
八千回の願掛けと一千日の祈りが通じて、、、
ホツマツタヱには、アマテルカミ(天照大御神)が誕生するまでの背景がエピソードとして詳しく記されています。そのまま書くとかなり長くなるので少し簡略して概要をお伝えしますね。
7代目アマカミにイサナギ・イサナミがなることで中央政府の危機を乗り越えることができましたが、トヨケカミはあることを嘆いていました。イサナギ・イサナミのもとで民を導く指導者がいなかったのです。
6代目アマカミであるオモタル・カシコネの時代に、食料不足や盗みなど国や人心が乱れていたという背景を考えると憂慮せざるを得なかったのでしょう。
一方、娘であるイサナミも父トヨケカミに「なんとしても世継ぎの子が欲しい」と申し出ます。
それを聞いたトヨケカミは、月山に世継ぎ社(やしろ)を建て、宇宙の創造神アメミヲヤに祈ります。自ら禊ぎをし、八千回も願をかけました。
イサナギとイサナミも禊ぎをして祈りを捧げます。
お二人は池の水で、
左の眼を洗い太陽に祈り、
右の眼を洗い月に祈ります。
またイサナギは、
マス鏡を両手に持ち、
太陽と月になぞらえ、
神が現れることを請います。
この二つ、古事記と日本書紀にも似たような記述が出て来ます(前回の記事参照)。
お二人の祈りも一千日にも及びました。
ある日のこと。共に拝んていると、日の輪が飛び落ちてきてイサナギとイサナミの前に留まります。日の輪とは太陽を意味するので、これはアマテルカミ(太陽神)が生まれる暗示を表しているのだと思います。
その後、イサナミは身ごもりますが、十月では生まれず、なんと九十六ヵ月目にアマテルカミ(天照大御神)は誕生するのです(※この九十六ヵ月については、ちょっと「?」です)。
アマテルカミ(天照大御神)が太陽神と言われる理由
実はアマテルカミ(天照大御神)が生まれたのが1月1日。元旦ですね。そして、生まれて間もなく声を発したと記されています。最初の言葉が「あな嬉し」、次に自分の名を答えるのですが、、、
ここで登場するのが菊理媛神(くくりひめのかみ)です。古事記では登場せず、日本書紀にほんのチョットだか登場する謎の神様。イサナギとイサナミが泉平坂(よもつひらさか)で争うときに、ある言葉をかけることで、お二人を仲直りさせたのですが、何を言ったのかは記されていません。
実はホツマツタヱでは、「シラヤマヒメ(白山姫)」「キクキリ姫」「ココリ姫」と呼ばれ、アマテルカミの叔母(イサナギの姉弟or兄妹)として登場します。
白山姫がアマテルカミの声を聞き取り、皆に伝えます。
うひるぎと みつからこたふ
みこのこえ
自ら「ウヒルギ」と答える御子の声がした、と。
ウヒルギとは、、、
おさなゝの ウはおゝいなり
ヒはひのわ ルはひのちたま
ギはキネそ かれウヒルギの
みことなり キネはメヲトの
ヲのきみぞ
ウは大いなり、
ヒは日の輪(太陽)
ルはヒのチタマ(※「チ」「タマ」ともに「霊」という字を当てることができます。僕の解釈としては「日の霊力」という言葉が妥当かと。)
ギはキネ(※キミは「キ」男性「ミ」女性のペアのアマカミ。これに対してキネは男性のみのアマカミ)
まとめると、、、ウヒルギとは「大いなる日の輪の霊力をもった(男性の)アマカミ」という意味となります。
天照大御神が太陽神(太陽の化身)と言われますが、それを表しているということですね。
「生まれながらにしてしゃべった」
というのには、賛否両論あると思いますが、アマテルカミ(天照大御神)が太陽神という由来は、ここからきているということですね。
祖父トヨケカミの八千回の願掛け、父母イサナギ・イサナミの千日による祈りが通じて、ここにアマテルカミ(天照大御神)は誕生しました。
「でも、ちょっと待ってください!」
あることに気づいた方は、こう思った方もいるかもしれません。
そう、天照大御神は女神です。でも、アマテルカミは男性。なぜ???
実はホツマツタヱではアマテルカミ(天照大御神)は男性で13人のお妃がいたことになっています。また別の記事で詳しく書いていきますね。
ではでは、最後までお読みいただきありがとうございました!
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