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アガサ・クリスティーに学ぶ「正しさを疑う」力

勝田です。
育児休業から復帰して初めてのお盆休み、長期休暇のありがたみを改めて実感しております。といいつつ、
・前半は憎きウィルスが我が家を襲来し帰省をキャンセル
・台風直撃により帰省後に予定していた旅行は日程変更
・変更した日に新幹線運転見合わせで足止めとなり旅行取りやめ
・急遽千葉が誇る某遊園地へ1泊2日旅行決行
と何ともバタバタでした。
それでも家族と沢山時間を過ごし、フル稼働してきた心身をリフレッシュできたかなと思います。(2日間息子と荷物を抱えて2万歩以上歩いたので若干肉体は悲鳴を上げていますが、、、)

■アガサ・クリスティーのススメ

さて、私がいつも聞いているVoicyの「荒木博行のbook cafe」で昨年11月にノンフィクション作家の真山仁さんと荒木さんの対談があり、その中で真山さんが「小説を読もう、特にアガサ・クリスティーを読もう」とお勧めされていました。

↑が放送のアーカイブですが、そこで語られていた理由は、

・小説は頭の中で物語が動くので脳への刺激になる。また読むことで「他人の人生」を生きる経験ができ、それを自身の人生に活かすことができる
・特に推理小説は視点登場人物(主人公)が多数出てくるので同じ事象(事件)に対して様々な視点を経験できる
・そして推理小説はたいていさらっと読んでいると騙されるので、自分の考える「正しさ」に懐疑的になる
・そして、ミステリー作品のなかでもクリスティーの登場人物は上手にうそをつく人のオンパレード(犯人以外も)で、傑作に当たる可能性が高い。その上表面的には読みやすいので嘘を見抜けない。
・これは社会と一緒。読みやすいもの(話のうまい人、メディア、SNS)、読みやすさこそ最大のウソ。世の中はたくさんの嘘があって全ての人が悪いわけでない。
・ビジネスの中で語られる情報(データ・発表)もその人の立場や役割の中で語られたポジショントーク(自分に都合のいい部分を強調した情報)が往々にしてある。それを構造として疑う必要がある。

私自身、海外文学・ミステリーはあまり触れてきておらず、この放送を機にいつか読みたいな、と引っかかっていました。
仕事復帰を機に電車通勤の時間ができたので、電子書籍を購入して「そして誰もいなくなった」読むことができました。

■「正しさ」を疑うマインドの重要性

読んでみて、登場人物が多くどんどんと視点が切り替わりながら事件が進行し、面白いな、でも登場人物と同じように犯人が誰かわからないな、と思ったまま、本編が終わってしまいました。
そしてエピローグでネタバラシ(犯人の独白)があって、初めて犯人が分かり、本編の中で自分の見逃していたところに気がつく、とまさに放送でいわれていたことと同じ経験をすることができました。
※このくらいであればネタバレ!と怒られないですかね、、、古典だしお許しください。。。

そして、改めて「騙される」経験をしたことで、本業や診断士としての仕事の中でも同じような事ってあるな、と思い至りました。

本業の営業の仕事でお客様と会話する中でも、自分自身も「嘘ではないけれど自社の立場ではこういわざるを得ない」というようなことを話していたり、逆にそこそこいい関係を築けてきたと思っていた取引先に本音を隠され後でそれが発覚する、というようなこともありました。
また、診断士として事業者の方にヒアリングを行ったときにも、本音らしきものと本心は異なっていた(その会社の抱える課題の本質ではなかった)、と感じた経験があります。

こういったことから、月並みですが相手の語る言葉をそのまま鵜呑みにせず、その会社や人の立場や状況を踏まえて悪い意味でなく「正しさを疑う」ことが重要なのだろう、と読書を通じて再認識できたと思います。

■小説から得られる学び

勉強熱心な診断士の方や受験生の方からすると、小説を読むよりもビジネス書や専門書を読んだ方が学びが得られる、と考える方が多いのではないかと思います。もちろんそれはその通りである一方で、
・小説を読んで沢山の人の人生を生き、価値観や考え方を知ること
・推理小説から人の言葉や行動に現れる違和感のヒントを学ぶこと
・そこから自分の価値観や考えが絶対ではない、自分の考える「正しさ」を疑うこと
等、小説から得られる学びは診断士活動に役立つはずです。
息抜きや娯楽という観点だけでなく、「人生を豊かにする学びを得る」という観点からも一度小説を手に取ってみてはいかがでしょうか。

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