「エシカル」について考えてみた〜言葉の意味や類語との違い、一人ひとりの行動の在り方など〜
皆さん、こんにちは。
14冊目の思考整理noteです。
日本でもあちこちで「SDGs」という言葉が聞かれるようになった。小学校教育の現場でも、様々な方法で「持続可能な社会」について考える機会が設けられている。これはとても良いことだと思う。
一方で、SDGsは国連に加盟している国々で決議された「目標」であって、具体的な行動については明記されていない。また、一人ひとりの行動が目標の達成にどのように影響を与えるか?については、個人のレベルで判断することは極めて難しい。
少し前に、「エシカル(ethical)」という言葉に出会った。最近では、「エシカル消費」や「エシカル商品」という言葉も、いくつかのメディアで聞かれるようになった。
「エシカル」という考え方は、SDGsの目標を実現させるために必要な個人や企業(組織)の行動規範と言われている。
今回の記事では、「エシカル」について、言葉の意味や類語との違い、一人ひとりの行動の在り方などについて考えてみた。「エシカル」がもたらす市場や組織の変化などについても触れる。
「エシカル」とは
直訳だけをみれば、冒頭に述べたSDGsとの関連性がなさそうにみえる。しかし、「一人ひとりの意識」という観点で捉えれば、すべての分野に不可欠な要素であるともいえる。
「倫理」という言葉に対して、抵抗感を感じる日本人は少なくないかもしれない。また、「道徳」という言葉についても、思い出されるのは小学校の時の授業ではないだろうか。
「人として正しい行動」と言われても、それ自体が抽象的であり、具体的な行動を定義するのは難しい。言葉の解釈のままに判断すれば、国の定めた法律やルールは原則除外される。
なんともややこしい言葉だ。笑
わたしなりに解釈を補足するとすれば、自分のことだけでなく、同じ人間や地域社会、社会全体に配慮がある行動が「倫理的」「道徳的」と言えると考えている。たしかに、全員がこんな意識で行動できれば、世界はハッピーで溢れるかもしれない。
なぜ今「エシカル」なのか
イギリスで1989年に発刊された「ethical consumer」という雑誌が、エシカルの発祥と言われている。この雑誌が独自に定めたエシカル度を測る「エシスコア(商品力ではなくエシカル度で評価する基準)」が注目を浴びた。消費者行動に新たな視点が加わった瞬間である。
今、地球上では様々な問題が起きている。生物の絶滅、途上国の労働搾取や児童労働、気候変動、資源不足、食糧危機、貧困など。これらの問題は、これまで、特に日本において、縁の遠い話だと思われていた。
しかし、近年の異常気象や円安、エネルギー問題はすべて、地球上で起きている問題が複雑に絡み合って起きている問題であることは間違いない。わたしたちの生活どころか、命すら脅かす問題もある。
この現状は、わたしたちが、わたしたちの豊かさのみを追求してきた結果であり、ある意味では「人として正しい行動」を積み重ねた結果とも言えるかもしれない。ただ、「エシカル」の観点からみれば、地域社会や社会全体に配慮があった行動とは言い難い。
これは何も地球環境だけの話ではない。会社などの組織の中でも、同様のことがいえる。暮らしを豊かにするために、年収をあげる、利益を出す。それは経済活動の観点では正しく見える取り組みだろうが、地域社会や社会全体への配慮があるとは言い難い。組織内の人間関係も、かつてに比べ「道徳的なつながり」が増えたと回答する会社も、きっと少ないだろう。
個人の幸せを追求することに対して否定するつもりは全くないが、それのみを追い求めた先にあるのはむしろ不幸せではないだろうか。一定の不便を苦しみを無くそうとする努力が、大きなしわ寄せとなり、自分たちに跳ね返ってきてしまう。それがまさに「現代の現状」だと思う。
だからこそ、今、「エシカル」なのだ。
「エコ」「ロハス」との違い
地球環境への配慮を示す「エコ」という言葉の方が、日本人には馴染みがあるかもしれない。家電製品などにも「エコモード」が搭載されているなど、実際の意味をイメージしやすい言葉ではある。
「ロハス」という言葉は、より人間の健康や環境に重きを置いた言葉だ。意識の高いライフスタイルを持った人々をイメージする人も多いのではないだろうか。日本では天然水でお馴染みの「いろはす」の語源の一部でもある。
「エシカル」という言葉は、「エコ」や「ロハス」と違いがあるというよりも、これらの言葉を包括した上位概念と捉える方がわかりやすいかもしれない。「エコ」も「ロハス」も、より広義で捉えることで「エシカル」という言葉に近づいていくのだ。
「エシカル・リーダーシップ」
「エシカル」という概念は、リーダーシップの領域にも広がっている。リーダーシップ研究の中でも、リーダーの「倫理的な行動」が与える周囲への影響について注目が集まっている。
一般的に、役割や地位が高まるほど、コントロールできる領域は増えていく。リーダーの意識や行動が、組織全体に影響を与える。企業の規模が大きければ大きいほど、それは社会全体への影響にもなりうる。
リーダーがエシカル志向(倫理的な意識・行動を高めること)になれば、組織も社会も良くなっていく。その積み重ねが、人々の笑顔を生み、活躍を生み、社会の発展を生み、地球や環境への優しさを生む。その出発点こそ、エシカル・リーダーシップである。
自分自身を振り返ろう
私もそうだが、常にエシカル志向でいられる人はほとんどいない。これまでの自分を振り返って「自分はエシカル志向だ」と言える人も、ほとんどいないだろう。ただし、これからの時代は、一人でも多くの人がエシカル・リーダーシップを発揮することが求められる。
まずは、自分自身を上記の観点から振り返ってみてほしい。振り返った上で、今の自分にできることが何かを考えてみよう。ひとつでも何か意識が変われば、それは偉大な一歩である。自分にとっても、社会にとっても。
ビジョンの実現に向けて
私が代表を務めるハピオブという会社は、「すべての人が活躍する社会をつくる」というビジョンを掲げており、達成するために「社会(組織・地域)にエシカル・リーダーシップを発揮している人財を増やすこと」に挑戦している。
今回の記事を読んで、一人でも多くの方が「エシカル」に関心を持ち、自分のいる場所で何かしらの行動をしてくれていたらとても嬉しい。また、この価値観やビジョンに共感してくれた方がいれば、ぜひ連絡してほしい。一緒に、エシカル・リーダーシップを発揮している人を増やすためのチャレンジしましょう。(連絡はX(旧Twitter)のDMにてお願いします)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?