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アメリカでの2年前の転職の選択

僕は今からちょうど2年前、2021年の夏に3つの大きな選択をした。
1.10年以上働いたカリフォルニアにある大企業を退職した
2.ボストンにある小さな会社に転職した
3.それを機にnoteを始めた

2021年、僕は日本にいる頃から夢だったアメリカ・カリフォルニア州にある大手製薬会社で働いていた。会社に入ってから11年目だった。順風満帆という訳ではないが徐々に回りからも信頼されるようになり、会社にとって重要な癌の新薬プロジェクトの部門のリーダーを任されるようになっていた。新薬の申請に必要なすべての試験を完了し、申請書類を提出し、決定機関であるFDA (Food and Drug Administration)とのやり取りも終盤に差し掛かっていた。その頃、ひとりのリクルーターから「良い転職話があるので考えてみないか?」と連絡が来た。ボストンにある小さな会社への転職話だった。小さな会社だけに自分に与えられる役割・責任は大きなものだった。気にはなったが、まだ承認を勝ち取ってなかったので一旦は断った。ところが、それからすぐに新薬が承認されてしまった。プロジェクトチームメンバーもびっくりするくらい早い承認だった。

思いがけず新薬が早く承認され大きなマイルストンが達成されたので、転職話を現実的に考えることにした。10年以上働いた会社は、良い仲間・上司にも囲まれてとても居心地は良かった。ただ、これまでと同じ心地よい環境で働くより、全く異なる環境に飛び込んで新たな挑戦をすることを想像する方がワクワクした。転職先の会社は、会社初の新薬承認に向かって進んでいるとのことだった。新薬承認をちょうど勝ち取ったばかりの僕には、また数年後にそのエキサイティングな瞬間を味わえるおいしい転職話に聞こえた。そして僕は転職を決意した。それと同時に、自分の経験・体験を何らかの形で発信したいと思い、noteを始めることにした。そして、あれから2年、3つの選択をした僕は、いくつかのことを学んだ。

学んだこと

人生そんなに甘くはない

転職当初、僕は3つの大きな目標を掲げた。
1.転職先で新たな新薬承認を勝ち取る
2.それを論文にする
3.その功績で転職先でさらに出世する

2023年に入り、いよいよこれらの目標が達成されると、熱を上げていた頃、とてもショッキングな出来事が起こった。承認に向けて行われていた臨床試験の結果が、目標に遥かに及ばないものだったのだ。プロジェクトは突然中止となった。同時に全社員の半分がレイオフされた。
僕はレイオフされず、会社に残ってくれと言われた。しかし、僕の掲げた3つの目標は吹っ飛んだ。一緒に働いてきた沢山の仲間も失った。
残されたのは初期を走る小さなプロジェクトで承認までは、何年も要する。

新薬の開発がそんな簡単でないことを知っていたはずなのに、承認欲求の欲の塊になっていた僕は、いつの間にか自分の期待通りに事が進むとだけ考えてしまっていたかもしれない。人生そんなに甘くはなかった。

濃い2年

結果だけで見ると大失敗のような2年だが、プロセスで見ると掛け替えのない2年だった。2万人以上の社員を抱える大企業から200名程度の小さな会社への転職で、自分の役割も責任も比べ物にならない程大きくなった。以前の大企業では幹部と顔を合わせる機会は滅多にない。CEOと直接話すことなど皆無だ。たとえ重要な新薬を任されたとしても、100もあるプロジェクトの中の一つに過ぎない。それが、今の会社に転職すると、毎日のように様々な部署の幹部とやり取りをする。自分の意見・プレゼンが会社の運命を左右することもある。承認欲求の強い自分には、大企業にいたら味わえなかった何とも濃い2年となった。

noteを継続できた

自分のアメリカでの仕事・転職の経験を発信したいとnoteを始めることにした。当初は、転職した際に掲げた目標のように、新薬の承認を再度勝ち取り、それを論文発表し、会社でも出世するという成功体験が発信できると目論んでいた。これも承認欲求の塊である。その目論見は無残に散った。でも、人に読まれることを意識して、日本語で自分の考えを発信することは、とても自分の考えを整理することに役立った。

とても大きなおまけが、思いがけない境遇の違う方が、僕の記事を読んでくれたり、嬉しいコメントを下さったことだ。境遇・環境が違っても、誰もが一生懸命それぞれの人生を生きている。境遇・環境が違っても、同じようなことで悩んだり、苦しんだり、人生の壁にぶつかったりしている。仕事に没頭し、狭くなりがちな僕の視野をnoteは広げてくれた。

あの決断をしてなかったら

2年前の転職で、僕は野心を持ち、成功体験を目標に猛進した。でも会社のプロジェクト中止とともに僕の目標も消え去った。今、僕は軌道修正を模索している。また、ワクワクする目標を見つけて、再度元気に進みたいと。

2年前に転職をしていなかったら、今ほどの上昇志向は生まれなかったかもしれない。悪く言えば、承認欲求、出世欲に溺れている。足るを知らない。切りがない。

日本で、アメリカで働くことに憧れていた頃、僕は回りを羨み、嫉妬し、それをエネルギーにしていたところがあった。

夢が叶いアメリカに来ると、回りに嫉妬することなど全くなくなった。自分は、回りに全く及ばないチャレンジャーになったからだ。純な気持ちで働くことを楽しめた。

ところが、アメリカでも仕事に慣れてくると、また回りと比べ始める。もっと大きなマイルストンを達成できる。もっと成果を出したい。もっと出世できると。また、承認欲求、出世欲が顔を出す。

仕事で成果を出すことも、noteを続けることも、自分の承認欲求が後押ししているのは確かだ。

でも、原動力が、単に人と比べ、競争し、勝ちを取る承認欲求のネガティブな部分だけでできているとは信じたくない。ネガティブな承認欲求とポジティブな成長マインドをはっきり区別するのはとてもむずかしいと思う。ただ、確かに、仕事への挑戦にしろ、noteにしろ、純粋にワクワクするものがある。承認されたいではなく、無条件にワクワクしてやりたいのだ。その自分の中の声に従えば、後悔しない人生が生きれると信じたい。








#あの選択をしたから


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