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ひょっとしたら私はずいぶんドライな人事だったのかもしれない。

将来的に人事の仕事に就きたいんです

そんな話を聞いた時、私が必ずお伺いする質問がある。
人事のどんな仕事をしたいですか?」と。
大抵の人の答えは、新卒採用とその後の研修である。


そうだよねー、やっぱそう思うよね。
というのが素直な感想。
「人事=採用」というイメージは、とても根強いものだと思う。

しかし、人事からすると採用は人事業務のごく一部であって、どちらかというと入口のライトな仕事の部類に入ると思う。
その中でも新卒採用というのは、季節性が強く、また若手社員から社長まで幅広いステークホルダーとも協業するという特殊性はあるものの、キラキラした素敵な・・・仕事だと思う。


新卒採用と対局にあるドロっとした人事の仕事と言えば、リストラや退職勧奨、懲戒処分を含むような労務対応などがある。

採用時には見えなかった、人の本質に触れるような機会が多々ある。キラキラとは程遠い、生々しいリアルな業務。正直って、あまり楽しいものではない(と、私は思う)。もちろん、人事の中には労務系の業務が好きな方や、楽しみを感じている人もいるので、感じ方は人それぞれではあるのだけれど。


ただ、どのようなカタチであれ、人が辞めていく(辞めさせる)プロセスを理解していることは、採用時にも強みとして発揮することが出来る。

採用活動をしていると必ずと言っていいほど、採用するべきか、見送るべきかの判断に迷う場面に直面することがある。

そんな時に、退職までのプロセスや対応方法、或いはパフォーマンスが悪い社員への対応方法をきちんと理解し、かつ自分自身で対応が出来るようになっていれば強気の採用判断が出来るようになる。

要するに「チャレンジかもしれませんが、採用しましょう!責任は自分が摂ります!」と言い切ることが出来るのである。
責任とは、パフォーマンスが悪いときにリカバリーさせるか、それが出来なければ退職勧奨を行って、プッシュアウトするという意味である。


などということ、当たり前に考えていたところでふと気が付いた。
上記に書いたような「うまくいかなければ、最悪の場合はプッシュアウトする」というのは、けっこう偏ったハード目な考え方なのかもしれない、と。

私は10年ほど、アメリカ系のIT企業で人事を経験した。
その企業では、パフォーマンスが上がらない社員に対して、教育を行ったり、マネージャーのサポートも含めてリカバリーするためのステップがいくつもあったが、それでも中長期にわたり改善が見られない場合や、無断欠勤を繰り返すなど勤怠が著しく悪い場合、或いはハラスメントやそのほか重大な就業規則違反をしたような場合などに、退職勧奨を行うことがあった。

当人と何度も話をして「他のフィールドの方が活躍できる可能性が高いんじゃない?」というようなことを、婉曲的に、時にドストレートに伝えて、本人に「じゃあ、、、」と退職届を書いてもらう。

そんなに頻繁に行っていたわけではないけれど、年間で何例か発生するプロセス。それが、当たり前の選択肢として脳に浮かぶというのは、ひょっとしたらドライなのかもしれない。

もっと、温情ある人事も世の中にはたくさんいるんだろうな。
そんなことに気が付いた夜。

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