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配慮なのか、差別なのか。

「女性ならではの感性や共感力も十分発揮してほしい」
先日、内閣改造の人事に関する首相の発言が物議をかもしていた。

この発言には私もびっくりした。これだけ多様性を尊重しようという時流の中で、まさかジェンダーギャップを助長するような発言を前面に出してくるとは。


ただ、こういった考え方は世の中に実は溢れまくっている。
女性は優しい。
男性は力強い。
女性には配慮が必要。
男性は女性を守らなければならない。
云々かんぬん。

言わずもがなだけれど、
優しい女性もいれば、優しくない女性もいる。
力強い男性もいれば、非力な男性もいる。
配慮は女性だけではなく、全ての人にする。
守る、守られるは性別によって決まるものではなく、状況や相互関係によって変わる。

「好意的差別主義」という言葉を始めて聞いた。
差別主義なんていうと、かなり強い響きがあるけれど、私なりの解釈を加えて言い換えるなら、良かれと思って無意識的に差別をしているという感じだろうか。

相手に対する配慮のようで、そこにはアンコンシャスバイアスがあって、結果的に差別的な言動になってしまっているということだろう。

記事内にある「子どもがいて大変だと思うから、メイン担当から外しておいたよ」これなんか、まさにそうだろうな。
当人はもっとキャリアを積みたいと思っているかもしれないし、子供がいても両立できるプランがあるかもしれない。

でも本人の考えや希望を確認する前に、一方的にジャッジされ決定がされる。そこに悪意は悪意があるわけではないどころか、好意的な配慮の気持ちからの判断であることが伺える。しかし、そこには多様性を阻むアンコンシャス・バイアスが確かに存在している。


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多様性の高いチームをマネジメントすることは、難しいしコストがかかる。色々な考えを持つ人がいるため、そのベクトルの向きを揃えることも一筋縄でいかないこともあるし、多様性のある個性を活かすためには環境的な工夫や投資が必要な場合だってある。
対して、同一性が高いチームの方が、マネジメントコストは低く、単純である。

超短期型のプロジェクトを遂行するためのタイガーチーム(特命班)などは、思考的な多様性を排して単純な意思決定がスムーズになるように意図的に同一性の高いチームを組閣ことによって、一定の成果を期待するという考え方がある。

しかし、超短期型ではなく、通常時や中長期型のプロジェクトなど、大抵の場合は多様性の高いチームの方が、高い成果を出すことが、様々な研究によって検証されている。

従って、多様性を認め受け容れていく意識と工夫が求められているというのが、現在の時流である。
ベネヴォレント・セクシズム(好意的差別主義)という、配慮にも似たアンコンシャス・バイアスをどれだけ無くしていけるか。

ヒントは一般論で括ることなく、双方の意図を明確に確認するための個別対話にあるのだろうな。マネジメントする側も、される側も大変だ。





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