見出し画像

首からカテーテル

3月8日、入院したその日に首からカテーテルを入れた。
これから血漿交換をする際にここから血液が出て行って、赤血球などがある血球成分と血漿に分離される。その後に自前の血漿は捨てられてグロブリン製剤と血球成分が混ぜ合わされて体に戻ってくる。

今回の入院で身体に針が入るのはこの処置だけだろう。
正直体に管を入れることも、血液を交換するという事も全く実感がわかないのでそんなに緊張もしなかった。

入院室のベッドで横になったまま処置室まで運ばれる。
寝転がって動く天井を見るのは初めての経験で、少し酔った。

処置室に入ってエコーで首の静脈を確認する。
「若いからいい血管がありますね。」
ヴァンパイアの競り市にかけられたらいい値がつくかもしれない。

そういうわけで局所麻酔開始
「痛みが強くあるのは最初の麻酔くらいですよ。」
と言われていたのでこれを乗り越えれば…という思いで乗り越える。

そしていざカテーテルを入れていく段階になると
「おかしいな、途中までしか入らない。」
2回ほどやり直したがやっぱり入っていかない様子
「ちょっと○○先生呼んできて」
代打でより経験のあるっぽい先生が呼ばれてきた。

「うーん、なんで入っていかないんだろ」
そんなやりとりの内に首に生暖かい液体がびゃっとかかった。
「5分ほど押さえて止血しますね。」
痛みはないし、視界も紙で隠してあるから見えないけれどあんなに勢いよく出血を感じたのは生まれて初めてだった。
まぎれもなく自分の体なのに、生命を感じない程にあっけなかった。

初日から血濡れのパジャマ。呪われているので外すことができない。(これしか持ってきてない)

代打の先生が改めてエコーで確認する。
「なるほどね、重なってんだ。いや、やっぱり重なってねえじゃん。」
ぶつぶつ言っている。重なってないんかい。
そうこうして狙いが定まったらしくカテーテルを入れていく。
感覚は一切ない。
「ちょっと強く押し込みますね」
ぐっと力を入れて押し込んでくる。
これはめちゃくちゃ痛かった。
うぎぎと唸りながら爪を手に食い込ませていると追加の麻酔を打つことになった。

麻酔の効きがあまりよくなくて結局追加で4本以上打った。
無事カテーテルが入って縫合してレントゲンでも確認した。
首はパンパンに腫れてカテーテルはテープで固く止めているから動かすこともままならない程に痛い。
痛いの麻酔だけじゃないじゃん…


当たり前だけど皆違う身体をもっているのだ。
誰にとっても同じように行くわけじゃない。

自分はやはりいろんな面で標準から外れているのだろう
これからの入院生活を少し覚悟した。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?