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【2019シーズンJ1第10節】北海道コンサドーレ札幌vsヴィッセル神戸 マッチレポート〜コスパの良さ≒ワケありの構図〜

 イニエスタがいない。ポルディがいない。サンペールはベンチ。監督は吉田孝行。バルセロナの華やかさとは遠くとも、それでも西大伍がいる。山口蛍がいる。キムスンギュがいる。ビジャがいる。
 サッカーはバルセロナだから勝つわけではなく、勝利へのアプローチは無数に存在する。そして勝ち方を知りその力を持った選手たちが揃っている。リーグ戦4連敗中であろうとも、ヴィッセル神戸というチームは全く油断の出来るような相手ではありません。
 対するコンサドーレは、直近のリーグ戦3連勝。早い時間帯で先制点を奪うことができ、優位に試合を進められる状況下で、守備におけるテコ入れも功を奏しました。連敗後、見事にチームを立て直したという評価がされる一方、ここまでチームのトップスコアラーであるアンデルソンロペスが今節より膝の靭帯損傷により離脱。療養のためブラジルへの帰国はアンロペのインスタから察するところでしたが、試合当日に公式での発表となりました。2〜4ヶ月程は復帰までかかるのではないかと思いますので、コンサドーレとしてはアンロペの位置に誰を配置し、どのようなゲームプランを練り上げるのか。前節までのストロングポイントが不在となり、計算の難しいポイントを抱えながらの試合になります。

今節については、試合内容よりも、試合を取り巻く環境などに焦点を当ててまとめていきます。というのも、試合動画を見返す時間がうまく取れなかったのと、PCが若干不調のためです。

この試合の持つ意義とは

 まず、コンサドーレというクラブが自身初のJ1での4連勝を懸けた試合であること。1シーズンを通して4勝で終えた経験を持つチームにとって、このチャレンジ自体が感慨深いものです。
 そして、開催時期がGWであり、相手は(欠場だったけど)イニエスタやポドルスキ、ビジャ、サンペール、西大伍、山口蛍、(退任したけど)リージョ監督など、資金力と夢を持ち"バルセロナ化"を目指すと明言していたヴィッセル神戸。コンサドーレのサポーターでなくとも、見てみたいと思うスター選手がやって来る(来なかったけど)ということで、夏の浦和戦に並び多くの来場者数を見込める試合です。
 加えて、今回の試合は天下のNHKにて全国地上波生中継されるということもあり、スタジアムに来なくともコンサドーレの試合を見て知ってもらう機会となりました。
 つまるところ、コアサポにとっても、ライトサポ、はたまたコンサドーレに大して興味のない人々にとっても、"注目"を浴びる試合なのです。そして、得てしてコンサドーレはこのような"注目"を浴びるゲームに弱い傾向がありました。
 現在では、そうしたある種の勝負弱さは改善傾向にあるものの、こうした人の目に触れる試合での振る舞いや結果によって、今後のファン獲得やメディア露出、引いてはクラブの成長や停滞に少なからず結びつきかねない試合なのです。
 商業主義的にひとつのゲームを定義することは、サッカーの本質と逸れるという意見もありますが、後述する"チーム強化"の観点で、いよいよコンサドーレというクラブは一層稼ぐ力を備えていく必要性が出てきているため、こうした表現を選んでいます。

"コスパの良いクラブ"を続けることの意味

 『組織の力か、個の力か』というDAZN公式CMでの煽りにある通り、両チームの構成や強化の在り方は対照的です。
 これはヴィッセルのような大型補強が望ましいという意味合いではないと前置きしておきますが、コンサドーレというクラブが"コスパの良いクラブ"と評価され続けることは決してポジティブな話ではありません。ここでいうコスパの良さとはメディアやクラブ経営視点の言い方であり、選手からすると適正な評価がされていないという見え方にも繋がります。
 この状態が継続されてしまうと、キャリアを積んだ主力選手の流出、それを若手で補うという構図に逆戻りです。
 野々村社長が強化費の目標を数ヵ年に渡り提示しているのは、更に"コスパが悪くないチーム"に変化させていく上で必要なことだからなのだと思います。
 今回の試合前だけでなく、サポーターの中には現状をコスパの良いクラブと称賛し、ヴィッセルを金満チームというように表現する方が少なからず存在します。補強と育成をチーム強化の両輪とすると、補強においてヴィッセルは近年明確なチャレンジを仕掛けています。これは、土台となる資本があるからこそ出来るポジティブな打ち手です。
 コスパという切り口でチームを近視眼的に見ると手痛いしっぺ返しを食らうことになると、これはコンサドーレの歴史的にも経験のある話です。

最高の雰囲気の醸成

 この日NHKによる生中継において解説をつとめた森岡隆三さん曰く、ドームに向かう道中のタクシー運転手がコンサドーレのサッカーの面白さを説いたと。タクシーの運転手さんが丁寧に仕込まれたサポーターという説を除けば、そのくらい今のコンサドーレは広く知られているのかもしれません。
 この日、試合前に行われたのは、以下掲載写真のような場内演出。ドームならでは、デイゲームでもこうした演出が出来、そして来場者全体で作られているという背景も胸に来るものがあります。二枚目のビッグフラッグを広げたのは道教大岩見沢校の皆様。当日リハのみに関わらず、難しい仕事を完璧にやってくれました。
 こういう成功した取り組みについては、どこかで背景や舞台裏をオフィシャルで取り上げてくれたりすると、クラブの色や方向性がもっと伝わる機会になるのではと思います。

 因みに、この2枚だけでなく、当演出の画像は北海道コンサドーレ札幌公式ホームページ内にて保存可能です。これはとてもありがたいことです。PCのデスクトップなんかにどうでしょう。今回はこの告知用に記事内引用させていただきます。

https://www.consadole-sapporo.jp/news/20190551236/
 
 
アンロペの代役探しは長い旅に

 前節終了時リーグ得点王としてコンサドーレの得点源となっていたアンデルソンロペス。前述した通り、ブラジルに帰国して家族とともにリラックスできる環境下で療養・リハビリに励んでいます。アンロペの欠場により、チームとして不可欠と言えたゲーム中の推進力担当を1人失うこととなります。この代案としては、別の推進力担当を配置する、あるいは局面での人数を多くかけるということですが、結論としては人数をかけることでこれに対処することとなります。
 起用されたのは荒野拓馬。スコアラーの代役として、J1ノーゴールの荒野の起用ということで、得点源以外の役割を担うことを期待されます。事実荒野は、状況を見てかなり落ち気味のポジションを取りながら、もう1人の推進力担当ルーカスが駆け上がることで空いたスペースやボール周辺のケアをすることで右サイドの攻守のアクセントかつリスクヘッジとして機能しました。
 荒野の適正ポジションという話題になると、基本的にはどのポジションでもやれそうだけれども、ユーティリティプレイヤーと言われるような器用さや担える役割の幅や量はそこまで大きくはないという印象を今尚持っています。
 今後もアンロペの代役についての最適解を探す旅は続きますが、相手を想定し荒野や早坂ら候補から選定していくこととなりそうです。ルヴァンカップにてシャドーをつとめる、攻撃に特長を生かすべき岩崎や檀崎がなかなかその実力を示しきれていないため、引き続き守備に重きを置いた起用となることが想定されます。

最後に

 アンロペ不在ということで、局面を個で打開することは難しく、逆に人数を掛けて攻撃を展開する形をいくつか見ることが出来ました。コンサドーレ2点目のシーンでは、宮澤がハーフスペース深く侵攻したことで相手の両CBの距離感を乱すことに成功しました。
 これから夏場に向かうにつれ過酷さを増すリーグ戦、コパ・アメリカに伴う代表選出などがあれば、更にチームとしてバリエーションが求められます。
 現在サブに甘んじている選手や、現在負傷離脱している選手の分だけ伸びしろはあるチームですので、これからに期待しながら応援できればと思います。

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