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走るランドセル

ママ!こういうやつ、あるやん?

お風呂場で突然、息子が曇った鏡に何かを描き始めた。細長い縦長の円の、左寄りの部分に縦長に棒をもう一本引く。それから、縦長の円の左側にさらに日本の孤を描く。

何それ。

「ほらー!学校行くときに背負うやつだよ!」

ああ。ランドセルか!
どうやら、横から見たアングルで描いたらしい。

「今日な、学校で絵を描いてん。」
「そうなん。どんな絵を描いたん」

すると息子は素っ裸でしゃがみ込み、突然両股をおっぴろげた。
「背負うやろ?でな、びゅーんていくねん!めっちゃ楽!びゅーん!」

・・・

漫画ではないので詳細をお伝えしよう。
要するに、ランドセルの下の方に、2つの車輪があるらしい。
ランドセルを背負い、しゃがみ込み、ちょっと背後に体重を乗せて両足を浮き上がらせると、ランドセルの下の車輪がビューーーーーーーーーーーン!と高速回転して学校にブッ飛び到着ーーーーーっ!ということらしい。

「どんなランドセルやねん!靴はくのん、忘れないようにせなあかんな!」
「ほんまや!せやな!」

そんな会話で今日は終わった。

いつぞやのスニーカーのような展開だし、ランドセルをスーツケースのように引っ張るアイデアも一昔にはありましたけども。ランドセルに乗っかって運んでもらう発想なんて、今まであっただろうか。少なくとも私は聞いたことはなかったなぁ。

ぶっ飛び思考。あながち間違ってないと思うのよね。

こんな発想ができるのも、おそらく「当たり前」という概念が彼らの中に存在しないからだろうと思う。単純に、こういうのもあったら面白そう!とか。あんな風にしたらかっこよさそう!とか。今まで出会ったものをパズルのように組み合わせて想像を楽しむ力。大人になるほど削がれていくよね。

当たり前をぶっ壊す力。ぶっ飛び思考。私は好き。
(足りているかはさておいて)

でも体重かけた瞬間にぶっ飛ぶのは色々忘れ物した時に大変そうだから、意思疎通できる何かスイッチはあるとええなぁ。息子が眠ったその後も、私は勝手に妄想を膨らませて走るランドセルで遊ぶのであった。

彼が寝てから描いてみた。こんなんかな。

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