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【詩】Captive boy

僕らは汚れたクレヨンで あの昼空の楽しさを覚えた
僕らは汚れた鉛筆で あの夕暮れの寂しさを覚えた
僕らは綺麗なこのペンで 一体何を覚えればいい?

方眼用紙の網目の中に インクを流して多々の言葉
篩にかかったその文字は軽薄な白を書き出して
誰にも伝わることのないまま真実にあらずと消えていく
幼きあの頃の白い紙 描かれた濃い字に潰されて
表せられぬ言葉までも 全て消し去り塗りつぶした

嗚呼 何も見えないよ
もう 何も見えないよ
閉じ込められた心達じゃ
『大人』になった僕達じゃ

僕らは放った産声で 生まれる怖さとやらを忘れた
僕らは愚図った泣き声で 夜の怖さとやらを忘れた
僕らは紡いだ歌声で 何を忘れてしまったのだろう?

赤い拡声器の網目の中に 喉を震わせて多々の言葉
篩にかかったその声は 曖昧な音を響かせて
何もないよと言わんばかりに平生の中に消えていく
幼きあの頃の青い空 叫んだ奇声にかき消されて
現せられぬ言葉までも 全て遅いと泣き叫んだ

嗚呼 何も聞こえないよ
もう 何も聞こえないよ
閉じ込められた心達じゃ
『大人』になった子供達じゃ

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