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この時代にカメアシになる意義とは?

はじめまして。(あるいははじめましてじゃない方も改めまして)ついこの間(といっても既に3ヶ月が経とうとしている...)師匠のもとを離れてカメラマンとして独立した加藤です。

今回はタイトルの通りですが、誰でも簡単に写真が撮れる現代において師匠のもとで修行する意味はあるのか、ということをお話できればと思います。まだカメラマンとして売れてもいないお前が何を言っているんだと思われるかもしれませんが、自戒の意を込めると共に現在スタジオマンをやっている後輩達やカメラマンを目指している人達の参考になればと思って記します。

まず、カメアシを経験して良かったことは下記の三点が挙げられます。


①写真が世に出るまでのすべてのワークフローを知ることができる

②高い水準の現場を経験することができる

③師匠のマインドセットをトレースできる


①写真が世に出るまでのすべてのワークフローを知ることができる

これはスタジオマンと決定的に違う点だと思います。具体的に言うとスタジオマンは撮影の現場しか経験できないことに対して、カメラマンの専属アシスタント(以下: 直アシ)は、打ち合わせの段階から原稿としてプリントアウトされるまでのすべてのワークフローに携わっています。

当然、多くのワークフローに携わる以上はそれに伴う知識も必要になってきます。機材、ライティング、レタッチなどは容易に想像がつくかもしれませんが、色原稿(=カラープルーフ)のプリントなどちょっとしたDTP(=簡単に言うとPC上のデータを正確に印刷すること)の知識も必要になってきますし、そこから逆行して正確なデータを作成するためのソフトウェアの作業空間の設定や、RGB値のデータ量を稼ぐための露出設定、ライティング...など枚挙に暇がありません。

ひとつ言えることは、撮影もレタッチもDTPも全ての知識が複合的に絡まりあっているので、ある一定ラインまでの知識を得ると細部は見えなくても写真制作のプロセスの全体像を把握することができます。頑張れば独学でも知り得る情報ではありますが、仕事をするなかで身につけたほうが早いと感じました。必要と迫られる環境のほうが知識も技術も身になると思います。


②高い水準の現場を経験することができる

直アシにならずにフリーになったカメラマンの友人から言われたことですが、タレントを起用した企業広告など莫大なお金が動く撮影を経験することができる点も強みだと思います。撮影における最終的な責任者がカメラマンである以上、直アシの責任も重大になってきます。広告撮影においては失敗も時間が押すことも絶対に許されません。そのため万全な準備、リスクマネジメントを入念にしたうえで臨みます。限りなくリクスをゼロに近づけるための努力はフリーランスにとってはもはや前提条件なので、それを身につける上では非常に有効な手段だと思います。

カメラマンになっていきなり広告撮影というのは、よほどの天才ではない限りはできないと思うので、それを事前に経験できるというのは直アシのアドバンテージだと思います。正直、広告撮影の前日まで本当にプレッシャーが半端じゃないですけど、そんな重圧を経験できるのもここだけですね。


③師匠のマインドセットをトレースできる

直アシになって一番良かったと思えることは、技術面でも経験面でもなくここに限ると思います。独り立ちしたら自分のことを怒ってくれる人もいなければ、仕事で失敗したら先方に切られるだけです。フリーランスとして生きるためのマインドセットは会社員のときのそれとは全く異なります。その予行演習を師匠というその道で成功している人にフィードバックをもらいながらできるのが直アシです。

長い時間一緒にいると何をどう考えているのか、どうしてそのような行動をとったのかが段々分かるようになってきます。会社で例えるならば社長秘書のようにベタづきで常に一緒にいるという体験です。サラリーマンになった弟からは、憧れていた人の下で働きたくて入社した会社で違う部署に配属され全く尊敬できない上司の下で働くことになったという愚痴を散々聞かされました。直アシという仕事は自分で尊敬できる上司を選んでその人と共に時間を過ごすことができます。自己啓発本を読むよりも、その道で成功している人の近くにいるほうがよほどマインドセットを身につける上では有効な気がします。


正直、カメラマンのアシスタントなんて生活に余裕もないし心身ともにキツいです。そんなことしなくても名乗ってしまえば誰だってカメラマンになれる時代です。しかし、自分が得たものは技術や知識だけでなく、思考方法や人間性など普通に生きていたら知り得ないようなことを沢山目にすることができました。自分でも実感できるくらいには良い意味で変わることができたのもこの経験があってこそですし、そういった意味では現代においてもアシスタントをする意義はあるのかな、と感じております。

徒然なるままに書き記してはみましたが、まだフリーランスになりたてで何も実績がないのでこれから営業に行きまくれるようブックを準備しているところであります。

#いや遅すぎるだろ

今後も写真に関して思うことがあったら思考の整理も兼ねて書き綴っていこうと思いますので引き続きよろしくお願い致します。


P.S. 本日、WEBサイトも公開しましたのでもしよければご覧ください。

https://www.hirokikatophoto.com/


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