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畑口さんに会いに

毎年被爆者の方の体験記を朗読している演劇集団ふらっと。今年は初めて、胎内被爆者の方の手記を読みます。
この日私達は、手記を書いた畑口實さんにお会いして、お話を伺う機会を得ました。

お会いする前に平和記念資料館に入り、
手記にも登場する、お父さんの懐中時計とベルトのバックルを見学しました。
公演メンバーから「意外に小さいね!」
「こんな小さなものを、お母さんはよく焼け跡から見つけられたね」と声が上がりました。

お父さんの形見の
懐中時計とバックル、遺書


資料館を出た後、いよいよ畑口さんと合流。レストハウスに移動し、直接お話を伺いました。

手記から私たちが想像していた印象とは異なる、物柔らかな語り口で、

「自分が被爆者だとは誰にも言いたくなかった」
「胎内被爆者の活動団体が発足した時も、関わる気にはなれなかった」…

…色々なエピソードをお話し下さいました。

ちなみに、手記には「父の50回忌に墓に納めた」とある懐中時計とバックルは、ガンジー没後50年記念の講演の際に依頼を受けて掘り出し、インドで展示されたそうです。その後平和記念資料館に寄贈されたとのこと。
またこの手記自体も、過去に何度か依頼があったにもかかわらず断り続け、退職に際してついに書かれたものなのだそうです。

移動中に。
この日は雨でした。

そして、ふらっとのメンバーが、印象に残ったお話がもう一つ。

「あの日」から70年が経った今、戦争の記憶はますます若い人達に伝わりづらくなってきたと感じる。
これからは被爆体験をただ話すだけではなく、アートの力を借りることが必要なのではないか―。

読むことしかできない、されど読むことならできる。
私達がやり続けてきたことの意味が、少し大きく感じられた瞬間でした。
(伊藤たえ)

◆畑口さん
雨の中貴重なお話をお聞かせ下さり、
ありがとうございました。

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