「菓te-ri」のロゴに込められた想い
椎葉の至るところで使われる合言葉。それが「かてーり」という言葉です。
「かてーり」とは、人々がともに”お互い様”の心を持ち、田植えや農作業を互いに手伝ったりする助け合いのこと。椎葉村では、この言葉とともに助け合いの精神が深く息づいています。
「かてーり」の言葉について詳しくは、note「初めて椎葉を知るあなたへの"椎葉の教科書"」でご覧ください!
そんな言葉「かてーり」から名付けられたこのお店「菓te-ri」。
そのロゴに込められた想いとは、一体どんなものなのでしょう?
ロゴデザインを行った、オノコボデザイン・小野信介さんのノートから、その秘密を探ります。
菓te-riが生まれたのは約5年前。当時から椎葉村のブランディング・広報誌制作を手がけていた縁で、オノコボデザインの小野さんにロゴデザインが依頼されました。
「かてーり」の言葉を大切にする椎葉村。その言葉のように、「いろんな食材や人が関わり合い、織りなすようなお菓子を作りたい」と菓te-ri店主の椎葉昌史さんは考えていたそう。その想いを聞いた小野さんは、さっそくアイデアを考え始めました。
ロゴデザインは、その人の想いと、そのアイデンティティを形にするもの。そこで「かてーり」の精神、椎葉村というアイデンティティをどう表現するかが肝となりました。
ロゴデザインのモチーフとして注目したのが、椎葉でも昔から使われてきた「かご」です。竹で編まれた竹かごはもちろん、”かずら”で編んだかごも、椎葉では欠かせない品。ちょいと畑の野菜を収穫したり、山に仕事に出かけたりする時も活躍します。背中に背負うものや、平たい大きなかごなど、形も様々。きっと、田んぼの手伝い(かてーり)の時にも活躍していることでしょう。そして、かごを編むおじいちゃんおばあちゃんの手捌きは、実に見事なのです。
身の回りの自然をうまく活用し、生活に役立ててきた椎葉の人たち。人と人の「かてーり」だけでなく、自然と人もまた「かてーり」なのだと考えました。そして、菓te-riのロゴには、「かご」をモチーフとすることになりました。
かごのように、いろんな人や食材が交わり合い、織りなすお菓子を目指して、様々なカラーが重なりあう様子をロゴで表現しました。
そして当初の想いのように、たくさんの人の協力を得ながら、菓te-riはここ椎葉村から美味しいスイーツを届け続けています。「かてーり」の気持ちを大切にし、県内の生産者さんとともスイーツを通して魅力を発信することが、椎葉、そして宮崎への恩返しだと考えています。菓te-riに関わるすべての人やものが、重なり合ってひとつの大きなかごになる。そんな想いを大切にしながら、菓te-riは今日もスイーツを作っているのです。
執筆・小野泉(オノコボデザイン)
https://onokobodesign.jp