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うちの猫と夜

うちの猫は寝相が悪い。大型猫の部類に入るほど大きい図体を、水平方向に360度回転させながら寝る。当たり前のように蹴られて、私は端に寄る。しかし、体の一部をくっつけていたい甘えん坊は、寄った分だけ詰めてくる。結局、ベッドの半分に鮨詰めで寝るのだ。

うちの猫は枕が好き。長い脚を器用に収納して、私の枕を占領する。寝ていてもお構いなしだ。しかし、極上の毛ともちもちのお腹に頭が包まれる感覚は、そんなに悪くない。むしろ、商売にできるのではないかと思うほど天国である。最高だ。

うちの猫は毛布が好き。特に冬は、きちんと頭だけ出して毛布に包まって寝ている。猫は結構体温が高いので、毛布の中も当然アツアツになっているのだが、とろけながら眠っている。しかし、先述の寝相の悪さがある。くるくると回転し、私から毛布を巻き取って、巻き寿司のようになっている事が多々ある。仕方がないので、厚着をして寝ている。

うちの猫はいびきがうるさい。猫のいびきなんて大したこと無いと思うだろう。これが意外と、大きくてやかましい。太っているわけでもないのに、プゴーフゴープスプスと、多彩ないびきをする。人間のいびきと違うのは、どんなにうるさくてもイライラしないことだろう。

うちの猫は寝顔が怖い。起きている時も、ヤンキー顔で強面だが、寝ている時は別の怖さがある。なんせ、白目を剥いて口が半開きで大きな牙が出ている。その上、夢を見ている時はピクピクと動いている。可愛い猫のイメージとは程遠い。もっとも、私の狂った脳みそは、可愛い可愛い寝姿として認識しているのだが。

うちの猫は朝が弱い。誰に似たのかちっとも起きない。多くの猫が反応する「ちゅ〜る」や「ごはん」などは微塵も効かない。終いには「あと五分」と言わんばかりに、手で目を覆ってしまう。毎朝、なでなでしながら声をかけて、抱っこして起こすこちらの身にもなって欲しい。まあ、その分早起きするのは苦ではないけど。

うちの猫は結構優しい。悪夢を見ることが多い私を、毎晩見守っているようだ。途中で目が覚めた時は、いつも覗き込んでいて、スリスリやペロペロをして、ゴロゴロと喉を鳴らしてくれる。そうして、私が再び眠るまで安心させてくれるのだ。

うちの猫はビビリだ。突然飛び起きたかと思うと、しょんぼりした顔で懐に入ってくる。大きな身体を小さく丸めて、撫でてくれとせがんでくる。怖い夢を見たのだろうか。私は、よしよしと撫でながら、彼が眠るまで起きている。彼の夢が、良いものになるように。

何が言いたいのかって?
うちの猫は、ものすごく可愛い私の宝だって事だ。ただの惚気話だ。「眠る」という行為一つで、こんなにも幸せにしてくれるのだという自慢だ。
今日も「大好きだよ」と言いながら眠る。
明日も明後日も、変わらぬ夜が来ることを願って。


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