見出し画像

料理はくそうまいんだよなぁ

先日家族のことを少しnoteに書いた。
あのとおり、私は普段あまり家族への意識がない。嫌いとか愛がないとかそういうことではなく、家族がいるという意識があまりないというのがしっくりくる。
その中で、母とは1番そりが合わない。

土曜、家族LINEのグループビデオ通話がかかってきていた。でもあれってなぜか着信音が鳴らないので気付かなかった。
その後、母から普通の着信があった。
電話に出ると、母は「今お姉ちゃんがうちにきてて、孫ちゃんもいるしみんなでビデオ通話したかったのに~」と言った。

あれ?そんな仲良し家族だったっけな?

病気の影響でいつもイライラしたり塞ぎ込んだりしている父と姉、それに疲弊して当たり散らす母、それぞれが言い合ってすれ違っている。それを傍観している私。それがうちの家族のイメージだ。

そのあとすぐに私は家を出た。きっと私が家を出てからの12年間に色々あったのだろう。
私にはいつも何も知らされなかった。
だから今になって家族と話すと全員性格が変わりすぎていて、何が何だかわからなくなることがある。

今や孫溺愛のおじいちゃんおばあちゃんと、嫁に行っても実家大好きで頻繁に帰る娘。そして変わらずそれを傍観する私だ。

「ごめん、今買い物中で手が離せない」
そう言って15秒足らずで母の電話を切った。
好きな人の家へ向かう途中だったのだ。
それどころではない、歯ブラシ買わないと!


それから3日たって、思い出した。
いつもなら自分からは用がなければ絶対に電話しないけど、かけてやるかぁ~て気になった。母が何か話したそうだった気がしたから。

「もしもし?あーこの前なんだった?忙しくてちゃんと聞けなかったから」
「え!珍しい電話くれるなんて。あのね、実はね~…」

そう言って母は話し始めた。
話したいことが終わったあともいろんなどうでもいい話題を降ってきた。
切りたくなくて引き延ばそうと必死なのが伝わって、少し可愛く思えた。
珍しくうんうんと、全て聞いた。

母は最後にこう言った。

「ごめんね、あんた忙しいのにね。こんなに話しちゃった。電話くれてありがとうね」

母はプライドが高い。素直になれない。
私が近くにいたら、頻繁に連絡を取っていたら、いつも優しくしていたら、絶対に聞けなかった言葉だ。

私が好きになるタイプの男かよ。

「あーはいはい、じゃ。」
ざまあみろと思って、冷たく電話を切ってやった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?